研究課題/領域番号 |
26462684
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
森本 壮 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (00530198)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ラマン分光法 / 細胞死 / 酸化ストレス / ミトコンドリア / 網膜神経節細胞 / ハイブリッドラマンイメージング / cytochrome c |
研究実績の概要 |
これまでの研究結果から、中枢神経におけるグルタミン酸毒性の実験モデルの一つである、網膜の不死化細胞にグルタミン酸を用いて、細胞死を誘導した実験系で、ラマン分光法を用いたラマン顕微鏡を用いて、その死んでいく細胞を観察し、得られたラマン信号の内、細胞内のcytochrome cのスペクトルが、cytochrome cの酸化還元状態とcytochrome cの細胞内の分布を示し、それらの情報が、cytochrome cを合有するミトコンドリアの酸化還元状態やミトコンドリアのATP産生能や膜電位を反映し、ラマン分光法による細胞内のcytochrome cのラマンシグナルによって、細胞内のミトコンドリア機能を知ることができ、細胞が死んでいくか生き残るかをしることができることを見出した。 この結果を論文にまとめた(近日中に論文投稿予定)。 この実験からラマン分光法では、還元型cytochrome cのみを捉えることができ、酸化型cytochrome cを捉えることができない欠点が露呈した。そのため、この欠点を補う方法として、蛍光タンパクを特定の分子にラベルし、蛍光シグナルとラマンシグナルを同時に観察できるハイブリッドラマンイメージング法の開発に着手した。また、同時にラマン分光法の新たな臨床応用を目指して、ラマン分光法を用いた癌細胞の鮮度(生き続けるか死んでいくか)を評価する方法の確立を目指し、小児の眼の癌として最も頻度が高い、網膜芽細胞腫細胞を実験材料として用いて、CFP蛍光タンパクをcytochrome cに結合させた網膜芽細胞腫の培養細胞株を樹立し、それに酸化ストレスを負荷し、網膜芽細胞腫細胞が死んで行く過程でのcytochrome cが還元型から酸化型に変化しても追跡可能であることを確認した。今後もこの研究を引き続き行っていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの研究結果から、中枢神経におけるグルタミン酸毒性の実験モデルの一つである、網膜の不死化細胞にグルタミン酸を用いて、細胞死を誘導した実験系で、ラマン分光法を用いたラマン顕微鏡を用いて、その死んでいく細胞を観察し、得られたラマン信号の内、細胞内のcytochrome cのスペクトルが、cytochrome cの酸化還元状態とcytochrome cの細胞内の分布を示し、それらの情報が、cytochrome cを合有するミトコンドリアの酸化還元状態やミトコンドリアのATP産生能や膜電位を反映し、ラマン分光法による細胞内のcytochrome cのラマンシグナルによって、細胞内のミトコンドリア機能を知ることができ、細胞が死んでいくか生き残るかをしることができることを見出した。 この結果を論文にまとめた(近日中に論文投稿予定)ため。 新たな研究として、ラマン分光法では、還元型cytochrome cのみを捉えることができ、酸化型cytochrome cを捉えることができない欠点が露呈した。そのため、この欠点を補う方法として、蛍光タンパクを特定の分子にラベルし、蛍光シグナルとラマンシグナルを同時に観察できるハイブリッドラマンイメージング法の開発に着手した。また、同時にラマン分光法の新たな臨床応用を目指して、ラマン分光法を用いた癌細胞の鮮度(生き続けるか死んでいくか)を評価する方法の確立を目指し、小児の眼の癌として最も頻度が高い、網膜芽細胞腫細胞を実験材料として用いて、CFP蛍光タンパクをcytochrome cに結合させた網膜芽細胞腫の培養細胞株を樹立し、それに酸化ストレスを負荷し、網膜芽細胞腫細胞が死んで行く過程でのcytochrome cが還元型から酸化型に変化しても追跡可能であることを確認した。
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今後の研究の推進方策 |
CFP蛍光タンパクをcytochrome cに結合させた網膜芽細胞腫の培養細胞株を用いて、抗がん剤を細胞に投与する実験系を確立し、この系に対し、ラマン分光法を用いてミトコンドリア機能を評価するハイブリッドラマンイメージングが有用であるかどうかを検討し、抗がん剤などの薬効の評価にハイブリッドラマンイメージング法を用いることができるか検討する。ハイブリッドラマンイメージングはまだ十分確立された方法ではないので今後この方法の確立を目指し研究を行っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
論文投稿が次年度にズレたため、論文投稿料の確保と投稿後の追加実験の対策の費用などとして使用計画の変更が生じた。
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