研究課題
緑内障は現在、眼圧を含む多因子疾患と理解されている。特に視神経乳頭を支えるlamina cribrosaと乳頭周辺強膜の脆弱性が近年注目されている。この脆弱性に対する治療法は開発されていない。今回我々は円錐角膜に対して臨床応用され近視治療としても注目されているクロスリンキングを乳頭周囲強膜へ応用し安全性有効性を検証する。これまで、UVを用いた照射プローブの作成と照射量を検討し、組織強度の変化を観察してきた。本年度は、UV照射後の網膜機能の安全性をみるため、電気生理学的手法を開発した。マウスは2色色覚であり、錐体反応はUVとgreenの波長を認識する。これまでの網膜電図は可視光領域でのみ観察されている。今回我々は、UV誘導錐体網膜電図を開発し、時間特性の解析を行った。ON,OFF経路は周波数特性が異なることから、photopic single-flash and flicker ERGs を測定し、25-Hz 以上のflicker ERG responsesが cis-2, 3-piperidine-dicarboxylic acidの硝子体注射で抑制され、15-Hz 以下の反応ではL-2-amino-4-phosphobutyric acidにより抑制されることから、紫外線誘導のflicker ERGs は25-Hz以上で主に OFF経路由来、15-Hz 以下ではON 経路由来であると示すことができた。すなわち、S-opsin-expressing cones はON と OFF 経路を持つことが観察可能であった。この手法を用いることで、網膜機能の大半の領域を観察することが可能となった。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
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