研究実績の概要 |
これまでに行った家兎を用いた細菌性眼内炎モデルが、眼内の生細菌数や臨床所見など個体差でのばらつきが大きく薬剤の治療効果を検討する実験モデルとしては不適切であったため、本年度は使用する動物をマウスに変更して細菌性眼内炎のモデルの確立を行った。眼内に摂取する菌は緑膿菌と腸球菌を用いて、C57BL/6マウスの硝子体へこれらの菌を投与することで、マウス細菌性眼内炎モデルを発症するか検討した。 まず投与する菌量の至適量を検討した。緑膿菌においては、12,500CFU、125,000CFU、1250,000CFUの3つの菌数を0.5μLの懸濁液として硝子体内に投与した。24時間後にはどの群においても眼内から生菌が検出されたが、125,000CFU以上の投与で安定して眼内炎が発症することが分かった。再検討においても100000 CFU/0.5μLを硝子体に投与すると24時間後には眼内の生菌数は約1000000 CFU/eyeが検出され、臨床スコアも悪化し、ミエロペルオキシダーゼ活性を用いて評価した好中球の浸潤も有意に促進された。 腸球菌においては、1,250CFU、12,500CFU、125,000CFUの菌量を硝子体に投与した結果、感染24時間後では12,500CFU以上の投与で安定して眼内炎が生じることが分かった。至適濃度を10000 CFUを硝子体に投与すると24時間後には眼内の生菌数は約100000000 CFU/eyeに増加し、臨床所見も増悪し、好中球の浸潤も有意に促進し、至適濃度と考えた。菌を投与後、6、9、12、19、24時間後の病理所見および好中球の浸潤を検討したところ、病理所見もミエロペルオキシダーゼ活性を用いて評価した好中球の浸潤も菌投与後19時間から生じることが明らかとなった。 これらの動物モデルを用いてファージ療法の効果を検討した。
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