研究課題/領域番号 |
26462701
|
研究機関 | 藤田保健衛生大学 |
研究代表者 |
山本 直樹 藤田保健衛生大学, 共同利用研究施設, 准教授 (00267957)
|
研究分担者 |
谷川 篤宏 藤田保健衛生大学, 医学部, 准教授 (40324412)
大熊 真人 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (50329710)
堀口 正之 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (70209295)
宮地 栄一 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (90129685)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 虹彩由来iPS細胞 / 網膜幹/前駆細胞 / 網膜再生 / 不死化細胞 / 組織幹細胞 / 再生医療 |
研究実績の概要 |
本研究では、これまで我々が報告した虹彩に存在する虹彩由来組織幹/前駆細胞、虹彩由来不死化細胞および虹彩由来iPS細胞を用いた網膜神経細胞への分化機構を明らかにするトランスレーショナルリサーチとしての網羅的網膜再生の基礎研究である。 平成26年度において、1)虹彩組織由来iPS細胞の安定的な作出方法とクローニング方法を確立し、ヒト虹彩組織由来iPS細胞株(虹彩iPS細胞)を樹立させた。虹彩iPS細胞は、無フィーダーで維持培養されており、アルカリフォスファターゼ陽性、iPS細胞作出時に導入した遺伝子の一部(SOX2など)が発現保持されている。継代数を数十継代行っても細胞の形態は大きく変化することはなかった。次に、虹彩iPS細胞を従来の無血清浮遊培養法(Sphere法)による神経幹/前駆細胞への前分化誘導を行うと、ほとんどの細胞が死滅した。そこで我々は、細胞を接着させたままの状態で神経幹/前駆細胞に前分化誘導できる培養条件を確立しつつある。 2)我々がこれまでに作出したSV40とGFPを連結した不死化Vectorを導入した細胞は、他の不死化遺伝子導入Vectorとは異なり、細胞増殖ができることはもちろん、培養条件を変えることで細胞を分化させることができるものである。ただし、一時的に遺伝子は導入されるが、安定化する前に導入遺伝子の発現が減衰してしまうことため、安定発現細胞を得られる確率は低かった。そこで導入効率と安定発現効率を向上させるため、プロモーターをCMVからEF1αに置換したVectorを作出した。このVectorを用いて、新たに虹彩由来不死化細胞の作出に取り組む。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
虹彩組織由来網膜幹/前駆細胞の培養条件の絞り込みが進捗していること、より効率的な分化能を有する不死化細胞を作出するVectorの構築ができたこと、ヒト虹彩由来iPS細胞(虹彩iPS細胞)の安定的な作出方法とクローニング方法を確立させたこと、虹彩iPS細胞から神経幹/前駆細胞への接着培養法での分化誘導方法を確立しつつあることなど、平成26年度に予定していた研究課題をおおむねクリアしており、順調に進捗していると考えている。現状において、大きな課題および修正点はない。
|
今後の研究の推進方策 |
平成27年度では、以下の課題を中心に実験に取り組む。 1)ES細胞やiPS細胞の培養法を模して、虹彩組織由来網膜幹/前駆細胞の効率的かつ未分化状態を維持できる培養条件をさらに検索する。 2)新しいVectorを用いた虹彩由来不死化細胞の作出に取り組む。 3)作出した虹彩iPS細胞の多分化能の評価、奇形腫形成実験を行う。 4)虹彩iPS細胞から網膜神経細胞への分化誘導、特に生理的に機能する網膜神経細胞への分化誘導に取り組む。
|