研究課題
本研究は、これまでに我々が独自に樹立・報告した虹彩に存在する虹彩由来組織幹/前駆細胞、虹彩由来不死化細胞および虹彩由来iPS細胞を用いた網膜神経細胞への分化機構を明らかにするトランスレーショナルリサーチとして、再生医療などへの応用性や可能性をもつ3種類の細胞を網羅的に利用して取り組む網膜神経の再生に関する基礎研究である。1)本研究期間において新たに樹立したヒト虹彩組織由来iPS細胞を用いて、より詳細なクローニングを行い、最も増殖能と未分化能が維持された虹彩由来iPS細胞株を樹立した。樹立した虹彩iPS細胞株をEB体(細胞凝集体)形成実験を行い、三胚葉へ分化することを確認した。次に接着培養法にて新たな2ステップの分化誘導方法を樹立した。分化誘導の1段階目において、神経幹/前駆細胞マーカーであるNestin、Musashiを強発現する細胞に分化させることができた。次に2段階目の分化誘導法にて複数の神経細胞マーカーを発現する細胞に分化誘導させることができた。これらの細胞を、電気生理学的手法であるホールセルパッチクランプ法にて検証したところ、神経細胞に特異的に発現するナトリウムチャネルの発現を発現する神経細胞であった。2)平成27年度に新たに作出した虹彩由来不死化細胞を用いて、虹彩由来iPS細胞同様に神経細胞への分化誘導を行った。新たに作出した虹彩由来不死化細胞は、独自に開発した不死化細胞作出vectorにて作製しており、遺伝子導入前の細胞が元来から有しているDNAを損傷させることなく、現在の研究では機能していないDNA領域に不死化遺伝子を導入できる。虹彩由来iPS細胞と同様に神経細胞への分化誘導が可能であったと考えられる。3)虹彩由来組織幹/前駆細胞の維持培養法を検討した。複数の阻害剤を組み合わせることにより、さらに安定した虹彩由来組織幹/前駆細胞を培養することに成功した。
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http://www.fujita-hu.ac.jp/~kyoriken/research/reserachpage.html