研究課題/領域番号 |
26462707
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研究機関 | 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立母子保健総合医療センター(研究所) |
研究代表者 |
臼井 規朗 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立母子保健総合医療センター(研究所), その他部局等, その他 (30273626)
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研究分担者 |
梅田 聡 大阪大学, 医学部附属病院, その他 (60715176)
奥山 宏臣 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30252670)
奈良 啓悟 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立母子保健総合医療センター(研究所), その他部局等, その他 (00432477)
上原 秀一郎 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (00448060)
上野 豪久 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10456957)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 気管軟骨 / 再生医療 / 脱細胞化 |
研究実績の概要 |
気管を脱細胞化し足場を作成する動物として成体Sprague-Dawleyラットを用いた。全身麻酔下に頚部から胸骨にかけて正中切開を置いて開胸し、左右の主気管支を含む気管全長の組織を採取した。ラット気管は極めて脆弱で組織採取には愛護的操作が必要であり、組織採取法の確立のために期間を要した。採取した気管は氷冷した1%ペニシリン/ストレプトマイシン/ファンギゾンを含有するPBSに10分間浸漬した。組織採取法を確立した後に、予備実験として採取した気管の頭側半分をnative trachea、尾側半分をdecellularized tracheaとし、脱細胞法の検討を行うこととした。採取した尾側半分の気管の脱細胞のプロトコールについては、Jungebluth らがNature protocol 2014において報告した方法に従うこととした。すなわち、4% Sodium deoxycholateで2時間灌流した後に、滅菌蒸留水で10分×2回洗浄を行い、続いてDNase I solution (50 kU/ml)で3時間灌流した後に、滅菌蒸留水で10分×2回洗浄を行う、これを1サイクルとし、各サイクルの間隔は24時間以上あけないように、合計9サイクル行った。灌流中の回転速度は60rpmとした。脱細胞後の肉眼的所見ではdecellularized tracheaはnative tracheaと比較して白色透明に変化を認めた。残存細胞成分の評価のために行ったHematoxylin-Eosin染色では、decellularized tracheaは軟骨の構造を保ちながら軟骨基質内の細胞成分が除去されていることを確認した。引き続き、脱細胞の効果判定および細胞外基質が保たれているかどうかを評価するために、decellularized tracheaとnative tracheaについてサフラニン-O染色、Ⅱ型・Ⅰ型コラーゲン免疫組織化学染色による軟骨基質の分布の確認を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ラット気管の採取法および評価系の確立のために期間を要しており、実験計画がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、脱細胞の効果判定および細胞外基質の評価のために、decellularized tracheaとnative tracheaについてサフラニン-O染色、Ⅱ型・Ⅰ型コラーゲン免疫組織化学染色による軟骨基質の分布の確認およびグリコサミノグリカン含有量、エラスチン含有量、総DNA含有量の測定を行う。また、レオメーターを用いて、decellularized tracheaとnative tracheaについて圧縮強度およびヤング率を測定し、物性強度の評価を行う。decellularized tracheaとnative tracheaの評価系を確立し、現行のプロトコールの脱細胞効率の評価を行い、その結果によっては、脱細胞のdetergentの変更や、灌流時間の変更を検討し、脱細胞の方法を決定する。脱細胞化した気管に気管上皮細胞および骨髄間葉系幹細胞を播種し再細胞化を試みる。頚部筋間や腹腔内に異所性に移植し、in vivo incubatorによる再細胞化も試み、再細胞化した気管について同様に細胞外基質、物性強度の評価を行い、足場のそれぞれの部位に応じた細胞の生着が得られるかを評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験がやや遅れているため。
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次年度使用額の使用計画 |
来年度の予算と合算することによって機械ならびに試薬等を購入するため。
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