研究課題/領域番号 |
26462711
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
窪田 昭男 和歌山県立医科大学, 医学部, 特命教授 (10161671)
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研究分担者 |
山上 裕機 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (20191190)
三谷 泰之 和歌山県立医科大学, 医学部, 学内助教 (40612106)
柳原 格 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立母子保健総合医療センター(研究所), その他部局等, 免疫部門 (60314415)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 壊死性腸炎 / 抗IL-6抗体 / 抗TNFα抗体 |
研究実績の概要 |
今年度は壊死性腸炎の治療戦略に照準をあわせた研究を行った。昨年度作成した発育遅延(IUGR)モデルマウスと成熟新生仔マウスにおける血中炎症性サイトカインをELISAキットにて測定。IUGRマウスにおいてIL-6、TNFαが有意に高く発現しており、このことからサイトカインの関与が示された。壊死性腸炎のモデルとして、IUGRマウスおよび成熟新生仔マウスに対し腸管結紮ループ起炎試験を行った。マウスを開腹し、結紮した腸管内に lipopolysaccharide(LPS)を注入。LPS投与後6時間以上生存したマウスから腸管ループを摘出し、RNAを抽出。 これをreal-time PCRにて計測し、炎症性サイトカインの過剰発現を確認できた。 上記の実験を踏まえ、抗IL-6抗体、抗TNFα抗体の投与の効果を検討した。ループ試験前に抗IL-6抗体(;トシリズマブ),および抗TNFα抗体(;インフリキシマブ)をそれぞれ0.1mg(抗IL-6抗体、抗TNFα抗体開発時のマウス投与量を参考)腹腔内投与した後、2時間後開腹して腸管結紮ループ起炎試験を行いLPSを投与した。また同時に抗IL-6抗体、抗TNFα抗体を投与しない群を作成し組織学的に炎症を抑制できたか比較検討を行った。またこちらでも炎症性サイトカインのmRNA発現量の測定をreal-time RT-PCRを行ている。現在抗IL-6抗体、抗TNFα抗体投与群で炎症性サイトカインの有意な低下を検討しているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
対象マウスが極めて小さく、いずれの手技(特にループ試験)も時間を要するためやや遅れているが、手技的な部分はかなり安定してきている
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今後の研究の推進方策 |
手技的な部分の安定させ、IUGRマウスに抗IL-6抗体(トシリズマブ),抗TNFα抗体(インフリキシマブ)をそれぞれ0.1mg(抗IL-6抗体、抗TNFα抗体開発時のマウス投与量を参考)腹腔内投与し、開腹して腸管結紮ループ起炎試験を行いLPSを投与する。また同時に抗IL-6抗体、抗TNFα抗体を投与しない群を作成し組織学的に炎症を抑制できたか比較検討を行う。また炎症性サイトカインのmRNA発現量の測定をreal-time RT-PCRを行う。この研究を通して抗サイトカイン抗体がNECの治療に使用できるかを検討する。 さらに次年度はヒト胎盤病理と胎児臍帯血中サイトカインの相関について実験を行う。 当施設倫理委員会の承認を得た後、同意を得られた当院分娩の新生児臍帯血と胎盤を用いて胎盤の炎症と胎児臍帯血中のサイトカインの相関を調べる。胎盤炎症分類はBlancの分類に従い、0度は絨毛膜羊膜に白血球浸潤をの認めないもの、Ⅰ度は白血球の浸潤が絨毛膜下にとどまっているもの、Ⅱ度は絨毛膜まで白血球の浸潤が認められるもの、Ⅲ度では羊膜まで炎症が及んでいるものにと分類し相関をみる。また最終年度は本研究の成果を論文化し、この結果によりNEC治療に対する抗サイトカイン抗体使用の臨床研究を立ち上げる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
ループ試験における手技の安定に時間を要し、抗炎症性サイトカイン抗体の使用が予定よりやや遅れているため
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次年度使用額の使用計画 |
手技的な部分の安定させ、繰り越しをした助成金によりIUGRマウスに抗IL-6抗体,抗TNFα抗体を使用した腸管結紮ループ起炎試験をおこなう。さらに次年度の予算ではヒト胎盤病理と胎児臍帯血中サイトカインの相関について実験を行う。当施設倫理委員会の承認を得た後、同意を得られた当院分娩の新生児臍帯血と胎盤を用いて胎盤の炎症と胎児臍帯血中のサイトカインの相関を調べる。胎盤炎症分類はBlancの分類に従い、0度は絨毛膜羊膜に白血球浸潤をの認めないもの、Ⅰ度は白血球の浸潤が絨毛膜下にとどまっているもの、Ⅱ度は絨毛膜まで白血球の浸潤が認められるもの、Ⅲ度では羊膜まで炎症が及んでいるものにと分類し相関をみる。りNEC治療に対する抗サイトカイン抗体使用の臨床研究を立ち上げる予定である。
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