本研究は、自己の背部皮下組織に留置したシリコンチューブ周囲に形成される円筒状の自家結合組織(=biotube) を材料として腸管再生を試みるものであった。ES細胞やiPS 細胞など幹細胞を用いないという新規性があり、成功すれば短小腸症となった患児への臨床応用につながる、重要な研究である。 ラットを用いた実験は、移植手術後3日以内に縫合不全を生じることが続き、最終的にはbiotubeを用いた吻合は成功しなかった。 今後は、腸管として小腸ではなく食道を利用することや、腸管壁の全周ではなく一部をbiotubeで置換することで腸管内皮や腸管平滑筋の再生が生じるかを確認することを計画している。
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