研究課題/領域番号 |
26462716
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
吉澤 穣治 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (80261220)
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研究分担者 |
桑島 成央 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (40301527)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 神経芽腫 / エクソソーム / microRNA |
研究実績の概要 |
【マウス神経芽腫担癌モデルおよびマウス神経芽腫肝転移モデルの作成】 神経芽腫細胞の入手:独立行政法人理化学研究所 バイオリソースセンター 細胞材料開発室から、継代可能神経芽腫細胞株(C1300及びNB-1)の供与を受けた。細胞培養:Gibco RPMI1640に10%FBSおよびPenicilinを添加して、5%CO2 37℃にて神経芽腫細胞を培養した。実験動物:三共ラボラトリーからA/Jマウスを購入して、繁殖させ、実験動物経費を削減した。実験動物は当大学実験動物センターにて飼育した。マウス神経芽腫担癌モデルの作成:神経芽腫細胞1X107個をマウス臀部皮下移植して、腫瘍径を経時的に測定した。マウス神経芽腫肝転移モデルの作成:神経芽腫細胞1X106個をプロトコールに従ってマウスを麻酔した後、左肋弓下を切開して、脾臓を体外へ脱展して、脾臓内へ30G針を用いて移植した。経時的に腹部を触診して、肝転移の有無を観察した。この記録には、研究費で購入したビデオシステムおよびエコスマートペンを用いた。 【神経芽腫治療】神経芽腫に対する現行の化学療法(シスプラチンを中心とする化学療法薬)および新たな治療法として注目されている分子標的薬(PD-1抗体)を用いた治療を施した。 【マウス血液採取】正常マウス・担癌モデルマウス・肝転移モデルマウス・治療後担癌マウス・治療後肝転移モデルマウスの尾静脈から血液を採取した。 【エクソソーム抽出】miRCURY Exosome Isolation Kit-Serum and Plasmaを用いて、正常マウス・担癌モデルマウス・肝転移モデルマウス・治療後担癌マウス・治療後肝転移モデルマウスそれぞれの血液からエクソソームを抽出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度の計画では、①マウス神経芽腫担癌モデルと肝転移モデルを作製すること、②これらのマウスの血液中および培養細胞液中のエクソソームを抽出し、さらにmicroRNAを測定することであった。この計画に基づき、平成26年度には、神経芽腫細胞の培養およびこれを用いたマウス神経芽腫担癌モデルや肝転移モデルの作成は計画通りに進んでいる。そして、それぞれの状況下の血液を採取して、エクソソームの抽出も順調に進んでいる。さらに、化学療法薬および分子標的薬による治療をおこなった場合のエクソソームの変化を検討するため、治療群の血液も採取した。 また、平成26年~27年度の計画では、マウスの日齢毎に採血を行い、それぞれの血中エクソソームのを抽出することを予定している。この計画については、実験動物の飼育スペースの確保の問題で平成26年度には実施することができなかったが、技術的にも容易であり、平成27年度には飼育スペースも確保できているので、この遅れはすぐに取り戻せるものと考えている。エクソソームからのmicroRNAの検出は現在進行中であり、平成27年年度前半には解析ができる予定である。 以上より当初の予定にそって進行中と考える。
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今後の研究の推進方策 |
【方法1】正常マウス、マウス神経芽腫担癌モデルおよびマウス神経芽腫肝転移モデルの血中のエクソソームを抽出した方法に基づき、平成27年度は、まず、日齢毎に血液を採取して、エクソソームを抽出することを行う。採血可能な量が少ないため、(ExoCap (JSRライフサイエンス社製)を用いた抽出を考えている。 【方法2】抽出したエクソソームからmicroRNAを抽出し、神経芽腫細胞特有のmicroRNAを検索する。これは以前に所属施設でおこなったマイクロアレーのデータを用いて解析した方法に基づき行う予定である。 【方法3】担癌モデルおよび肝転移モデルから抽出したエクソソームの膜上の特異的マーカーを検索する。まずは、他の腫瘍で発見されているCD147,CD63などをターゲットとする。 【方法4】神経芽腫細胞からは、血管新生促進物質が分泌されていることが知られているので、神経芽腫培養細胞から抽出したエクソソームを蛍光標識して、この標識されたエクソソームが血管内皮細胞に取り込まれ、増殖が促進されるかをin vitroで確認することを研究に追加する。 【方法5】エクソソームの研究は大腸癌において進んでいるため、大腸癌の培養細胞株を入手して、これを用いた研究を同時に行うことによって比較検討しながら、神経芽腫の研究を行っていくことで確実な研究を行うこととした。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究は順調に推移しており、消耗品の支出を少なくできたこと、および実験動物を所属施設内で繁殖させたため、購入費を節約できたことにより、支出額が少なくなった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度には、microRNAアレイの測定が必要となる可能性があるため、平成26年度で節約できた研究費を有効活用することを予定している。
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