研究実績の概要 |
前年度までに、絞り込みを行なった候補遺伝子のうち、2遺伝子については肝芽腫細胞株におけるゲノムメチル化状態を、別の2遺伝子については腎芽腫におけるゲノムメチル化レベルを、MassARRAY Epityper法を用いて定量的に解析した。その結果、正常組織と比較して腫瘍組織において遺伝子Aのメチル化状態が変化していたことから、本年度は臨床検体における遺伝子Aの発現レベルの解析、および培養系における遺伝子Aの機能解析を行なった。 当科で保存している肝芽腫臨床検体4症例に対して、遺伝子Aの発現解析を行なった所、腫瘍の方が高発現であった症例と低発現であった症例が2例ずつであった。このことから、現時点では腫瘍組織における遺伝子Aの発現状態について一定の見解は得られていない。 次に、培養系における機能解析を行うために、肝芽腫細胞株2種類(HepG2,Huh6)における遺伝子Aの発現レベルをReal-time-PCRにより調べたところ、Huh6で高発現であることを確認した。そこで、Huh6に対してsiRNAを導入し、遺伝子Aの発現抑制を行い、細胞機能の影響を調べた。Real-time-PCR、Western blottingを用いて発現抑制効率を確認した後、増殖能や浸潤能の解析を行っているが、現時点では一定の結果は得られていない。また、full lengthのcDNA導入による定常発現株作成を試みているが、樹立には至っていない。 今後は、実験条件の再検討を行い、遺伝子Aの抑制による細胞機能の変化について引き続き解析するとともに、肝芽腫および腎芽腫細胞株に対して遺伝子Aを一過性に過剰発現させ、機能解析を行う予定である。
|