研究課題/領域番号 |
26462718
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
越永 從道 日本大学, 医学部, 教授 (70205376)
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研究分担者 |
杉藤 公信 日本大学, 医学部, 助教 (10328750)
藤原 恭子 日本大学, 医学部, 助教 (40595708)
古屋 武史 日本大学, 医学部, 助手 (20568539)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 肝芽腫 / 機能解析 |
研究実績の概要 |
前年度までに、新規ヒト肝芽腫候補遺伝子の探索を目的として、各細胞における候補遺伝子のゲノムメチル化レベルを定量的に解析した。その結果、腫瘍細胞と正常細胞で異なったメチル化状態を示した遺伝子として、肝芽腫候補遺伝子(A)を絞り込んだ。 今年度は、臨床検体における遺伝子Aの発現状態の検討を行った。当科に保存している肝芽腫臨床検体7症例を正常肝組織と腫瘍組織に分け、それぞれReal-time-PCRで遺伝子発現を解析した所、正常肝と比較し腫瘍組織で有意に遺伝子Aが低発現であった。以上の結果は、遺伝子Aががん抑制遺伝子として機能している可能性を示唆した。 そこで、肝芽腫における遺伝子Aの役割を解明するために、肝芽腫細胞株HepG2、Huh6に対して、遺伝子AのsiRNAを導入し発現抑制を行い、その機能解析を行った。Real-time- PCRおよびWestern blottingにより遺伝子Aのknock downを確認し、顕微鏡下の観察を行ったが、siRNA導入における形態変化は認めなかった。一方、遺伝子A発現抑制状態における細胞増殖能をWST-8 assayで測定した所、有意な細胞増殖能の増加を認めた。Wound healing assayによる細胞遊走能の解析では、有意な遊走能の変化は認めなかった。 さらに、細胞株にHepG2、Huh6に遺伝子Aのプラスミドベクターを導入し、一過性過剰発現状態での機能解析も同様に行った。一過性過剰発現での形態変化は認めず、細胞増殖能は有意な低下を認め、細胞遊走能は有意差を認めなかった。 以上の研究結果より、遺伝子Aが肝芽腫において細胞の増殖能を抑制し、がん抑制遺伝子として機能している可能性が示唆された。今後は、遺伝子Aが細胞増殖能を抑制する機序を検討するとともに、遺伝子Aの定常発現株の樹立、in vivoにおける検討などの追加実験を行う予定である。
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