研究課題/領域番号 |
26462721
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研究機関 | 千葉県がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
菱木 知郎 千葉県がんセンター(研究所), がん治療開発グループ, 主任医長 (00375776)
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研究分担者 |
上條 岳彦 埼玉県立がんセンター(臨床腫瘍研究所), 臨床腫瘍研究所, 研究所長 (90262708)
吉田 英生 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60210712)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 神経芽腫 / 再発 / 網羅的ゲノム解析 / 網羅的エピゲノム解析 |
研究実績の概要 |
本研究次世代シークエンサーを用いた網羅的解析により神経芽腫が再発に至るメカニズムを解明することを目的とする。初発時および再発時の検体がセットで存在する神経芽腫症例につき、2点間のゲノム・エピゲノムレベルの変化を解析することによりクローン進化の機序を明白にし、神経芽腫が再発に至るプロセスで鍵となる分子の同定をめざす。 平成27年度は初発および再発神経芽腫での変異解析のために、次世代シーケンサーを用いた神経芽腫細胞株の全エクソーム解析にて条件検討を行った。 細胞株から抽出したDNAをCovaris社 DNA Shearing システムで200bp程度に断片化し、これをAMPure XPビーズ精製した。クオリティチェックには電気泳動システムAgilent 4200 TapeStationを用いた。Agilent社SureSelect ターゲットエンリッチシステム、Human All Exon V5+UTRsを用いて全エクソーム領域のライブラリー調製を行った。 シーケンサーにはIllumina社MiSeqを使用し、Reagent Kit v2, 7.5Gbを試薬として用いることで平均100 reads程度のdepthを得ることができた。得られたシーケンスデータはCLC Genomics workbenchを用いて参照配列(hg19)にマッピングし、変異解析を行った。Non-synonymous変異、細胞株であることから変異頻度が30%以上、多型頻度が1%未満、蛋白質の機能に影響すると予想される(PROVEAN, Polyphen, Shiftによる解析)変異や、これまでに腫瘍において報告されている変異を候補遺伝子とした。以上、全エクソーム解析に十分な解析結果を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1年目の研究が倫理審査手続きに時間を要したために当初の研究計画より若干の遅れがあるが、今年度解析の予備実験はほぼ完了し、今後は症例数を増やして解析を行うことが可能となるため、挽回できる遅れであると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後、凍結検体及びホルマリン固定パラフィン包埋検体(FFPE)を用いて初発・再発神経芽腫検体における全エクソーム解析を行う予定である。ライブラリー調製にはSureSelectターゲットエンリッチシステムにKAPA HTP Library Preparation Kitを組み合わせることで、FFPE由来の微量なゲノムDNAでも全エクソーム解析が可能なライブラリーの調製が期待できる。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度の研究に用いる試薬は不足なく購入できた。次年度は検体数を増やして本格的な解析を行う必要があり、これに充当するために残額210,405円を次年度に使用することにした。
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次年度使用額の使用計画 |
サンプル調整試薬および学会での発表・論文校正などに用いる予定。
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