研究課題/領域番号 |
26462722
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
小山 明彦 北海道大学, 大学病院, 講師 (70374486)
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研究分担者 |
古川 洋志 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00399924)
林 利彦 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (00432146)
舟山 恵美 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (10533630)
七戸 龍司 北海道大学, 大学病院, 医員 (30640346)
山本 有平 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70271674)
村尾 尚規 北海道大学, 大学病院, 助教 (90706558)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | リンパ浮腫 / リンパ管新生 / ドラッグデリバリーシステム |
研究実績の概要 |
リンパ管新生因子であるvascular endothelial growth factor-C(VEGF-C)がリンパ浮腫の病態に及ぼす影響を評価・検討するために、マウス後肢リンパ浮腫モデルの作成を行った。 リンパ浮腫組織を採取した後、リンパ管新生因子と血管新生因子の発現の変動をreal time PCRやウエスタンブロッティング法で解析し正常組織と比較した。マウスリンパ浮腫モデルでは、VEGF-Cの発現がRNAレベル、タンパク質レベルで亢進していることが確認された。リンパ浮腫の程度が強い場合、VEGF-Cが正常組織より有意に強く発現していることを確認した。リンパ浮腫の程度と、VEGF-Cの発現レベルが相関していることが示唆された。血管新生因子であるvascular endothelial growth factor-A(VEGF-A)はリンパ浮腫組織において、正常組織と比較して有意な発現上昇を認めなかった。浮腫部位では、VEGF-Aを上昇させる虚血部位がないことが示唆された。VEGF-Cがリンパ浮腫組織の寛解において、どのような機能を果たしているかは十分に解明されていない。このことから今回、我々が作成したリンパ浮腫モデルにより、VEGF-Cが浮腫の改善に果たす役割を解明できる可能性がある。 今後もリンパ浮腫モデルを用いて、VEGF-Cがリンパ浮腫の改善に及ぼす影響と、リンパ管新生の誘導についての研究を進行していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ドラッグデリバリーシステムを用いたVEGF-C徐放治療の開発を行い、治療効果を判定する上で重要なマウス後肢リンパ浮腫モデルを安定的に作成することが可能となった。 マウスリンパ浮腫モデルでは浮腫の程度によって、VEGF-Cの発現が変動していることが確認されている。この浮腫モデルを用いてVEGF-Cがリンパ浮腫の寛解に及ぼす影響を解析することが可能であることが示唆されており、今後のVEGF-Cの有効な投与方法が明らかになる可能性がある。 よって、概ね研究は順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
VEGF-Cを各種濃度でリンパ管内皮細胞の培養液中に投与し、MTT assayにより継時的に細胞増殖と生存率を測定する。また、VEGF-Cを浸透させた徐放用ハイドロゲル(MedGel)をリンパ管内皮細胞の培養液に投与し、同様に評価する。リンパ管内皮細胞が増殖する上で最適なVEGF-Cの濃度と投与方法を評価・検討していく。その後、後肢リンパ浮腫モデルへの投与方法も検討していく。
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