研究課題/領域番号 |
26462725
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
三川 信之 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (40595196)
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研究分担者 |
窪田 吉孝 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (10375735)
佐藤 兼重 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (50138442) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 骨延長術 / 細胞移植 / 脂肪細胞 / 遺伝子 / エピジェネティクス |
研究実績の概要 |
頭蓋顎顔面領域の骨延長術においては複数回の手術既往により骨再生能が低下していることが多い。これは骨芽細胞や新生血管の元となる幹細胞が不足していることや、骨新生、血管新生を誘導する物質を分泌する細胞が不足していることの両方が原因と考えられる。このような状態に対して細胞移植治療が有効である。我々は遺伝子導入移植細胞として脂肪組織をコラゲナーゼ処理の後、遠心した沈殿分画から得られる脂肪組織由来幹細胞(ASCs)と浮遊分画を天井培養して得られる天井培養由来前脂肪細胞(ccdPAs)を有力な候補と考えている。我々はこれまでASCsとccdPAsとの間には脂肪分化能、骨分化能、分泌能に違いがありその違いが継代を超えて受け継がれることを明らかにしてきた。しかし、何がその違いをもたらしているかは明らかではなかった。我々はこれらの違いをもたらすメカニズムとしてエピジェネティック修飾を考えた。エピジェネティクスはDNA配列変化に因らない発現調節である。DNAメチル化はシトシンのピリミジン環5位炭素原子に結合した水素がメチル基(CH3) に置き換わることである。DNA内でシトシン(cytosine, C)とグアニン(Guanine, G)がホスホジエステル結合(phosphodiester bond, p)で並んだ部位をCpGサイトと呼ぶ。CpGサイトのシトシンがメチル化された場合、DNAを鋳型としてRNAを合成する段階である転写(transcription)が抑制されることが知られている。バイサルファイトシーケンスによる高解像度メチル化解析で骨分化関連遺伝子RUNX2, ATF4, BGLAPにおいてASCsと比べてccdPAsのメチル化率が有意に低いCpGサイトが存在することが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
エピジェネティクス解析の導入により細胞性質の予測がしやすくなったため。
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今後の研究の推進方策 |
骨分化関連遺伝子以外のエピジェネティクス修飾の解析やメチル化以外のエピジェネティック修飾を解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
細胞採取が安定しておこなえるようになりコストが低下したため。また、エピジェネティクス解析の第一段階としておこなったメチル化率測定の全ゲノム解析に時間を要したため次の段階へ進むのに間隔が空くため。
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次年度使用額の使用計画 |
細胞培養と骨分化、分泌に関わる表現形解析およびエピジェネティック修飾解析に用いる計画である。
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