研究課題/領域番号 |
26462727
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
杠 俊介 信州大学, 学術研究院医学系, 准教授 (10270969)
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研究分担者 |
松尾 清 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (20135156)
伴 緑也 信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 講師 (30447784)
常川 主裕 信州大学, 医学部附属病院, 助教(特定雇用) (30625778)
柳澤 大輔 信州大学, 医学部附属病院, 助教(特定雇用) (40646527)
西岡 宏 信州大学, 医学部附属病院, 助教(診療) (50721023) [辞退]
大畑 えりか 信州大学, 医学部附属病院, 助教(診療) (60625789)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 上眼瞼 / ミュラー筋 / 機械刺激受容チャネル / ギャップ結合 / カハール介在細胞 / 受容体 / 交感神経 / ビメンチン |
研究実績の概要 |
【目的】眼瞼ミュラー筋組織内に発現する機械刺激受容チャネル、ギャップ結合やカハール介在細胞などの刺激伝達機構、神経刺激の受容体、平滑筋細胞の細胞骨格、神経線維に関して組織化学的手法を用いた同定を行う。 【方法】解剖学実習用検体10体の上眼瞼標本。機械刺激受容チャネル(TRPV1, TRPV2, TRPV4, TRPV6)、ギャップ結合(Cx32, Cx36, Cx43, Cx45)、カハール介在細胞(cKit)、アドレナリン受容体AR(α1, α2, β1, β2)、細胞骨格(ビメンチン、サイトケラチン、平滑筋アクチン)、神経線維(S100, TH: tyrosine hydroxylase)に対する抗体を一次抗体とした免疫組織化学染色を行った。 【結果】ミュラー筋平滑筋細胞に発現していたものは、TRPV2、TRPV4、TRPV6、Cx32、Cx36、Cx43、ARα1、ARα2、ARβ1、ビメンチン、平滑筋アクチン。ミュラー筋組織内に、cKit陽性細胞、多くのS100陽性神経線維、疎らなTH陽性神経線維を認めた。TRPV1、Cx45、ARβ2、サイトケラチンは陰性であった。 【考察】眼瞼ミュラー筋は血管や膀胱と同じ中胚葉由来平滑筋細胞で構成される。その平滑筋同士はギャップ結合で刺激が伝達される。ミュラー筋内には有髄神経が多く分布する一方、交感神経節後線維はわずかである。平滑筋細胞の間隙には他の内臓平滑筋同様にカハール介在細胞が存在し神経末端と平滑筋細胞の間の刺激伝達に寄与している。ミュラー筋平滑筋にはアドレナリンα1他の受容体が分布する。ミュラー筋平滑筋には機械刺激受容チャネルが存在する。眼瞼に加えられた進展や温度などの機械刺激はミュラー筋平滑筋細胞膜上のチャネルを開き、細胞内カルシウムイオン濃度を上昇させ、ミュラー筋を収縮させると考える。ミュラー筋はこれらの構造を介して物理刺激を受容伝達している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度の研究実施計画は、ヒト眼瞼組織で免疫組織化学的手法を用いて、ミュラー筋内のギャップ結合関連コネクシンや交感神経に関連したアドレナリンレセプターの各種、上皮系マーカーであるサイトケラチン、中胚葉マーカーであるビメンチンの発現を同定することであった。当初に目標としていた標的を一次抗体とした免疫染色はすべて年度内に終了することができ、ミュラー筋内に存在するものと存在しないものを同定することができた。計画通りに研究を実施できていると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度に、ミュラー筋内に存在するギャップ結合関連コネクシン、アドレナリンレセプターの種類を同定でき、ミュラー筋が上皮系サイトケラチンは陰性で中胚葉ビメンチンに陽性あることが判明した。今後、平成26年度に同定した、各コネクシンやレセプターがミュラー筋組織内でどのように局在しているのか、ミュラー筋を数分画に分けて組織学的に検索していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画より安価に物品を購入し、平成26年度に計画していた研究を遂行できたため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成26年度から繰り越された次年度使用額と平成27年度に交付される額を合わせた経費で、平成27年度の研究を遂行する。
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