2017 年度実績報告書

腱膜性眼瞼下垂の手術で三叉神経固有感覚の誘発の減少による睡眠障害治療効果の研究

研究課題

研究課題/領域番号	26462728
研究機関	信州大学
研究代表者	松尾清信州大学, 医学部, 特任教授 (20135156)
研究分担者	杠俊介信州大学, 医学部, 准教授 (10270969) 伴緑也信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 講師 (30447784) [辞退] 常川主裕信州大学, 医学部附属病院, 助教(特定雇用) (30625778) [辞退] 安永能周信州大学, 学術研究院医学系, 助教 (40596946) 柳澤大輔信州大学, 医学部附属病院, 助教(特定雇用) (40646527) 西岡宏信州大学, 医学部附属病院, 助教(診療) (50721023) [辞退] 大畑えりか信州大学, 医学部附属病院, 助教(診療) (60625789) [辞退]
研究期間 (年度)	2014-04-01 – 2018-03-31
キーワード	睡眠障害 / 眼瞼痙攣 / 腱膜性眼瞼下垂 / ミュラー筋機械受容器 / 三叉神経固有感覚 / 青斑核 / アテネ不眠尺度 / 腹内側前頭前野
研究実績の概要	開瞼して上眼瞼挙筋を収縮させてミュラー筋機械受容器伸展で誘発される三叉神経固有感覚は、その量に応じて、青斑核を刺激し、腹内側前頭前野を活性化し手掌汗腺を発汗させ、生理学的覚醒を調節していることを報告した。また、挙筋腱膜が瞼板より外れて起きる腱膜性眼瞼下垂の患者の中で、開瞼時ミュラー筋機械受容器が強く伸展されて誘発される三叉神経固有感覚は、青斑核を刺激し、扁桃体・後帯状皮質を介して顔面神経核を刺激して、皺眉筋・眼輪筋眼窩部遅筋線維を不随意的に収縮する眼瞼痙攣を起こすことも報告した。この眼瞼痙攣患者の半数は不眠を訴える。それは、睡眠の為の閉瞼中の眼球運動（ベル現象、REM期の水平運動、夢を見ているときの垂直運動）で、ミュラー筋機械受容器伸展で三叉神経固有感覚が誘発され、青斑核が刺激され半覚醒となり不眠となると仮定した。50名の眼瞼痙攣患者（男6名、女44名、平均50.6歳）に、ミュラー筋機械受容器を伸展されにくくするために、ミュラー筋を瞼板より外して腱膜を瞼板に固定する、痙攣を沈静化させる手術を行った。この50名の患者の、術前、手術後２週、手術後６ヶ月のアテネ不眠尺度(AIS)の変化を、SPSSを使った反復測定による分散分析で評価した。AISスコアは術前9.1±4.0（睡眠薬使用者も含まれる）、術後2週で4.2±3.8、そして、術後半年で4.1±3.3であった。眼瞼痙攣の改善だけでなく、術後２週で有意に（P<0.00１）不眠は改善され、術後半年でも不眠の改善は維持された。ミュラー筋機械受容器を伸展されにくくする手術で、閉瞼してベル現象がでても、ミュラー筋機械受容器があまり伸展されず入眠困難にならず、睡眠中に垂直眼球運動が出現しても、ミュラー筋機械受容器があまり伸展されず夢を見ても睡眠が中断するほどの覚醒にならないため睡眠障害が改善したと考えられた。