研究課題/領域番号 |
26462732
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
長谷川 健二郎 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (90197674)
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研究分担者 |
成瀬 恵治 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (40252233)
徳山 英二郎 岡山大学, 大学病院, 助教 (90379785)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | メカノメディスン / human skin equivalent / 細胞間interaction |
研究実績の概要 |
今年度は、まず専用のシリコンチャンバーを作成し、その内にヒト皮膚線維芽細胞を混和したⅠ型コラーゲンゲルを注入し真皮層を作成した。3日後、その表面にヒト表皮角化細胞を播種し、更に3日後、表面を空気に暴露させ角化させることで、ヒト全層培養皮膚(Human Skin Equivalents: HSEs)を作成した。このチャンバーを伸展装置に装着し、伸展させることで3次元全層培養皮膚のストレッチシステムを完成させることに成功した。伸展期間は5/7/10日、伸展率は5/10/20%で行う予定であったが、7日間以上伸展した場合、HSEsがチャンバーから脱落してしまう確立が高かったため、伸展期間は5日間とした。また、伸展率20%では、チャンバーが高率に破損してしまったため、伸展率は10%に設定し実験を継続した。その結果、このシステムを用いてストレッチ刺激を加えた(ST)群と加えていない(NST)群に分け、切片を作成しHE染色を行ったところ、有意にST群で表皮角化層の厚みが増している所見が認められた。また、基底層における単位長さあたりの基底細胞の数も有意に増加しており、HSEsに伸展刺激を加える事で、表皮層の層化、角化を促進されることが示唆された。このシステムを用いることで、従来の皮膚線維芽細胞、表皮角化細胞単独での伸展培養では不可能であった、伸展刺激が表皮角化細胞の重層化、角化に及ぼす影響を観察することが可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
チャンバーの破損などのトラブルはあったものの、初めてHSEsの伸展培養を行うことが可能なシステムを開発することに成功し、従来の皮膚線維芽細胞、表皮角化細胞単独での伸展培養では不可能であった、伸展刺激が表皮角化細胞の重層化、角化に及ぼす影響を観察することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
培養皮膚の基底膜の状態が良好になると、表皮の分化状態も改善することが報告されており、ストレッチ刺激を負荷することで基底膜の形態、構成タンパクの発現がどのように変化するかを、蛍光免疫染色、immunoblotting等で定量的に解析する。また、基底層の微小構造に関しても、透過型電子顕微鏡を用いて観察する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
チャンバーの破損などの問題を解決するため、実験プロトコルの確立に予想以上に時間がかかり、今年度行う予定であった走査型電子顕微鏡での表面性状の観察実験まで行うことができなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額をH27年度使用額と合わせて、基底膜タンパクの免疫組織学的、定量的解析、電子顕微鏡による基底膜構造の組織学的解析を行うための、抗体、試薬等の消耗品費用、及び共同実験室利用料として使用する。
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