研究課題/領域番号 |
26462735
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
小室 裕造 順天堂大学, 医学部, 教授 (90306928)
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研究分担者 |
上田 晃子 順天堂大学, 医学部, 非常勤助教 (50337961)
福村 由紀 順天堂大学, 医学部, 准教授 (90407312)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 頭蓋縫合早期癒合症 / 狭頭症 |
研究実績の概要 |
本研究はまれな疾患である頭蓋縫合早期癒合症の原因解明に一歩でも近づくために行われている。平成26年度は症例の集積に努めその結果6例の頭蓋縫合早期癒合症の手術を行う機会を得た。 術前においては患者の性別、手術時年齢、頭囲周径を記録した。頭蓋顔面形態をデジタルカメラで撮影してその変形を詳細に記録した。さらに術前検査として三次元CTで骨の早期癒合の状態を観察し、またMRI検査により、脳の形態を検査し、水頭症やキアリ奇形の有無をチェックした。三次元CTでは手術のシミュレーションなども試みた。手術に際しては、まず頭蓋内圧の測定を行い記録した。実際の手術においてはわれわれの開発した骨延長器を用いた後頭蓋骨延長法を積極的に用いることで良好な頭蓋形態を安全に獲得することができた。これらの術式およびその結果については内外の学会において発表を行った。術後は経時的に三次元CTとMRIにおいて頭蓋および脳の形態学的変化を観察した。また三次元CTデータから頭蓋容積の測定を行い術前後の変化を定量的に分析した。 手術の際には患者家族の承諾を得たうえで早期癒合部分の骨検体を採取した。特に片側の冠状縫合早期癒合症では患側と健側の検体を採取できたので正常異常の比較ができるものと期待している。これらの検体はホルマリン固定したのちEDTAにて脱灰を行い、パラフィン包埋処理を行った。現在免疫組織学的検索に用いるための準備を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
症例の集積は順調に進み6例の頭蓋縫合早期癒合症(アペール症候群1例、クルーゾン症候群1例、全頭蓋縫合早期癒合症1例、斜頭症1例、舟状頭1例)を治療する機会を得た全例三次元CT、MRI撮影を行い頭蓋縫合の早期癒合の状態、脳実質の異常を確認した。またCT画像から解析ソフトを用いて頭蓋容積の測定を試みた。 手術時に全例から縫合部の検体を採取することができた。検体はホルマリン固定して今後の病理組織学的および免疫組織学的な検索を行う準備をしている段階である。 研究代表者に所属機関の異動があったため新しい研究体制の構築がまだ不十分でありまた研究に割く時間が十分得られず予定の達成目標からはやや遅れているのが現状である。
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今後の研究の推進方策 |
研究代表者の所属機関の異動があったため、早急に研究体制の再構築を行う予定である。検体は免疫染色を行いまずTGFβの発現の解析を行う。その後他のサイトカインの発現も調査する予定である。 並行して前勤務先である順天堂大学と連携をとりつつ、頭蓋縫合早期癒合症患者の遺伝子解析、画像解析、頭蓋内圧の測定などを行い診断の確実性を高める。さらに脳神経外科医と協力し低侵襲な手術の開発を引き続き精力的に行っていく予定である。また今回三次元CT画像から解析ソフトで頭蓋内容積の測定を行うことに成功した。今後我々の開発した骨延長器を用いた頭蓋拡大法の有用性を明らかにするため術前後の比較を行い手術の有効性を検討していく予定である。
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