最終年度H29年度も引き続き研究計画に沿ってラット側頭部解剖の調査、予備実験、ならびに側頭筋移行術モデルの作成を行った。側頭筋の電気生理学的評価を行うための機器の整備ならびにその使用法、データ採取法の検討、試行も行い、これらに関して少量のデータを得たものの、側頭筋移行術モデルにおいての定性・定量的な評価・解析を行うまでには至らず、最終年度までに当研究課題の当初予定していたところまでの実験結果を学術論文にまとめるには至らなかった。しかし、今後の関連領域の研究に役立つと思われるラットモデルでの側頭筋の解剖やその栄養血管・支配神経に関する知見を得ることができた。側頭筋移行術を想定したラット側頭筋の詳細な解剖を記載した文献は見当たらず、今後の研究に生かし得るものと考えている。 実際の臨床において島状側頭筋移行術の有用性はすでに確立されたものとなっているが、その詳細なメカニズムにはいまだ不明な点が多い。動物モデルを用いた評価法に関しては改善の余地はあるが、ラットでは評価を行う側頭筋が非常に小さいというところが問題となっているため、将来的にはより大きな動物を用いたモデル作成が有用とも考えられた。 一方で研究機関を通じて関連領域・分野の研究者との意見交換、最新の知見の情報収集を目的に関連学会に参加、得られたラット側頭筋の解剖に関するpreliminaryな知見を含んだ、顔面神経麻痺の治療やマイクロサージャリー領域関連の学会発表・論文執筆を行った。
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