研究課題/領域番号 |
26462741
|
研究機関 | 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター(臨床研究所) |
研究代表者 |
小林 眞司 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター(臨床研究所), その他部局等, その他 (90464536)
|
研究分担者 |
田中 祐吉 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター(臨床研究所), その他部局等, その他 (50420691)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 口唇口蓋裂 / 歯槽歯肉骨膜形成術 / 多血小板血漿 / 多血小板フィブリン / 骨形成 / 再生医療 / 再生医療等安全性確保法 |
研究実績の概要 |
平成27年度は、下記の3項目について研究を実施した。 1.「In vitroにおける骨芽細胞の挙動」骨芽細胞の培養方法の確立と増殖能を検討した。具体的には、実体顕微鏡下で得られた骨膜組織から分離した1歳以下のヒト乳幼児の骨膜細胞をin vitroにおいて培養かつ保存することに成功した。当該年度は、計28名のヒト乳幼児の骨膜細胞を安定して培養することができた。増殖能に関してはMTT試験により細胞倍加時間は31.3±4.6時間(n=4)であり、極めて高い増殖能を示した。 2.「Computed Tomography(CT)による顎裂部の骨形成の定量的評価法の確立」PRP/F移植5年後の症例に対して、骨形成をCT評価することができた。矯正歯科医によるPRP/F移植後の評価法が確立された。具体的には、CT上で歯槽頂から梨状孔縁までの高さが12mm以上を「骨形成が十分」とし、歯槽頂から梨状孔縁までの高さが12mm未満を「骨形成が不十分」と判断した。日本人の乳中切歯の平均歯根長である12mmを基準とした。この結果は、第38.39回日本口蓋裂学会にて報告された。 3.「再生医療等安全性確保に準拠した臨床応用の継続」再生医療等安全性確保法が、平成26年11月25日より施行された。「PRP/Fによる再生医療」が平成26年11月24日に第3種細胞群として受理され、当該年度も継続中である。これまで、唇顎口蓋裂252症例に対して自己PRP/Fを移植し、有害事象は発生していない (2016.3.31現在)。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度に予定していた1.In vitroにおける骨芽細胞の挙動と2.Computed Tomography(CT)による顎裂部の骨形成の定量的評価法の確立は、ほぼ満足する結果を得ることができた。また、再生医療等安全性確保法に準拠した再生医療等提供計画の申請を行い平成26年11月24日に受理されたことにより、臨床応用が加速されることが期待されるため。
|
今後の研究の推進方策 |
1.In vitroにおける骨芽細胞の挙動(骨分化能の解析) 当該年度は増殖能を検討したが、次年度は分化能を検討することにより、PRP/Fの骨形成過程をin vitroにて解析する予定である。 2.Computed Tomography(CT)による顎裂部の骨形成の定量的評価法に基づく結果集計および解析 評価法が確立され、次年度は評価可能年齢となった症例に対して統計学的手法により結果を解析する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当該年度は手術で余剰となったヒト検体が予定より少なく、液性因子解析、組織学的解析の費用が余剰となったため。
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度はヒト骨膜細胞の培養が本格化する予定であり、組織学的およびin vitroでの解析を行う予定である。
|