1.生後5-7ヶ月齢のPRP/F中に含まれる血小板および液性因子の濃度測定 ヒト乳児のPRPは2回遠心法により作製することができた。血小板とサイトカインの濃度を末梢血中およびPRP中で測定した。その結果、血小板濃度:末梢血33.8±8.8、 PRP 49.5±72.3 、血小板由来成長因子(PDGF)濃度:末梢血7376.7±1874.8、PRP 5663.7±6727.2、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)濃度:末梢血493.6±120.5、PRP 524.1±627.2、トランスフォーミング増殖因子(TGF-β1)濃度:末梢血22.5±11.7、PRP 29.3±36.5と個人差が大きいものの、末梢血中よりもPRP中の濃度の方が概ね高値であった。 2.移植用“PRP/PRF”形状の最適化 PRPは市販のゼラチンスポンジなどを利用して移植した。一方、PRFは、血小板濃縮を維持しながら凝固させることができた。従って、両者とも顎裂部へ移植することが可能であった。 3.Computed Tomography(CT)による顎裂部骨形成の定量的評価法の確立 PRP/F移植5年後の症例に対して、骨形成をCT評価し、矯正歯科医により評価法が確立された。具体的には、歯槽頂から梨状孔縁までの高さが12mm以上を「骨形成が十分」とし、歯槽頂から梨状孔縁までの高さが12mm未満を「骨形成が不十分」と判断した。 4.in vivo における顎裂部骨膜の組織学的解析およびin vitroにおける骨芽細胞の挙動 組織学的解析を行い、ヒト乳幼児の顎裂部骨膜を同定することができた。実体顕微鏡下で骨膜組織だけを分離し、骨膜細胞をin vitroにおいて培養・保存することに成功した。増殖能に関してはMTT試験により細胞倍加時間は31.3±4.6時間(n=4)であり、極めて高い増殖能を示した。
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