研究課題/領域番号 |
26462745
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
RAKWAL RANDEEP 筑波大学, 教育イニシアティブ機構, 教授 (70590850)
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研究分担者 |
柴藤 淳子 昭和大学, 医学部, 研究生 (10611121)
塩田 清二 昭和大学, 医学部, 教授 (80102375)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | pacap / マイクロアレイ / 脳梗塞 |
研究実績の概要 |
【平成26年度の計画】脳梗塞でのischemic core(不可逆的範囲)と周辺 ischemic penumbra(救済可能範囲)のPACAPによる部位特異的でさらに時間的経過を考慮した分子レベルでの詳細なプロファイリングを作成するために、DNAマイクロアレイ法により遺伝子発現解析を行う。
【研究方法】C57BL/6マウス雄性個体を全身吸入麻酔にて右内頚動脈から塞栓糸を挿入し、先端を乳大脳動脈分岐部に固定して永久中大脳動脈閉塞モデルを作成し、TTC染色にてモデル作成を確認した。脳虚血直後にPACAP38と比較として生理食塩水を正常側の大脳半球の脳室内に投与した。投与後6時間と24時間後に虚血側半球からはIschemic Core (IC)とIschemic Penumbra(IP)、正常側半球からはICとIPの反対側となるContra ICとContra IPをサンプリングし、トータルRNAを抽出した後に、Dye-Swap法にによるアジレント社のWhole Mouse GenomeオリゴDNAマイクロアレイキット(4x44K) チップを用いた遺伝子発現解析を行った。さらにこのサンプルを用い、先行研究により明らかになっていたCRMP2タンパク質の発現変動をウェスタンブロッティングにより確認した。
【研究結果】PACAP38投与後のマイクロアレイ解析の結果から、時間および部位特異的な遺伝子リスト選択ができた。またCRMP2タンパク質の発現量や分解生成物/ショートアイソフォームでもischemic coreとpenumbraの間で違いが観察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
PACAP投与後6および24時間のICおよびIPのマイクロアレイ解析から、それぞれ発現変動があった遺伝子リストおよび遺伝子発現のプロファイリングをまとめ、さらにCRMP2タンパク質の時間的および部位特異的な発現変動をウェスタンブロッティングにより確認できたことで、論文投稿まで至った。Int J Mol Sci. 2014 Sep 23;15(9):17014-34.
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今後の研究の推進方策 |
次年度はPACAP投与後6および24時間のICおよびIPのプロテオーム解析(2D-DIGE法)を行う。さらにCRMP2タンパク質の時間的および部位特異的なリン酸化の変動をウェスタンブロッティングにより確認し、PACAPによるCRMP2タンパク質のリン酸化促進あるいは抑制作用を確認する。またCRMP2タンパク質の機能解析を検討するため脳組織の分画処理や免疫沈降法を用い、CRMP2タンパク質の脳局在性やタンパク質相互作用を確認したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
IPA解析により選ばれた遺伝子のRT-PCR解析用としての試薬および消耗品を購入する予定だったが、IPA解析がまだ不十分であることから最終的な候補遺伝子リストが作成できず、RT-PCR解析用の試薬分の予算が余り、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度はPACAP投与後6および24時間のICおよびIPのプロテオーム解析(ショットガン法)に20万円、遺伝子発現解析のためのRT-PCR用試薬に未使用額28479円を含めた10万円、CRMP2タンパク質のウェスタンおよび免疫沈降法に利用する抗体やLC-MS解析の費用で60万円さらに論文投稿費用など30万円を予定している。
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