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2016 年度 実施状況報告書

心肺停止時における血管収縮物質動態に基づいた心肺蘇生法確立に関する実験的研究

研究課題

研究課題/領域番号 26462746
研究機関群馬大学

研究代表者

大嶋 清宏  群馬大学, 大学院医学系研究科, 教授 (60361375)

研究分担者 萩原 周一  群馬大学, 大学院医学系研究科, 講師 (20455992)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2018-03-31
キーワード心肺蘇生 / 心肺停止
研究実績の概要

日本蘇生協議会による蘇生ガイドライン2015では、心肺停止(CPA)症例に投与する血管収縮薬として標準用量のアドレナリン投与が提案されているが、その効果に関しては未だ不確定であり、CPA症例におけるカテコラミン血中濃度に関しても不明である。今回、CPA症例における病院到着時の血中カテコラミン濃度からアドレナリン投与の意義に関して検証を行った。本研究は前向き観察研究であり、実施にあたり本院倫理委員会から承諾を得た。2014年7月~2016年9月までに当院救急外来に搬送されたCPA症例において、病院到着直後に採血しアドレナリン投与前の血中カテコラミン(アドレナリン:Ad、ノルアドレナリン:NAd、ドーパミン:DOA)およびバゾプレシン(ADH)の血中濃度を測定し、心疾患が原因のCPA(疑いも含む)症例における上記項目を検討した{結果はMedian (Q1, Q3)で表記}。対象は30例で、年齢79 (67, 89)歳、男女比15:15、病院到着時の心電図波形はVF 4例、PEA 6例、Asystole 20例だった。血中濃度はAd (≦0.10pg/ml): 0.97 (0.33, 4.41)pg/ml、NAd (0.10-0.50mg/ml): 0.88 (0.70, 2.48)mg/ml、DOA (≦0.03ng/ml): 0.07 (0.04, 0.19)ng/ml、ADH (≦4.2pg/ml): 28.7 (10.0, 64.6)pg/mlで、4項目とも正常範囲を超えていた。また、上記4項目と自己心拍再開(ROSC)との相関係数はAD:0.307、NAd:-0.193、DOA:-0.146、ADH:0.076だった。CPA症例の血中カテコラミン濃度は病院搬送時のカテコラミン投与前から正常範囲以上であり、ROSC獲得と関連しない可能性がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

心肺停止状態における血中カテコラミン濃度に関するデータが集積されつつある。

今後の研究の推進方策

心肺停止症例を原因別に群分けして、背景別にどのような状況であるかを検討する。具体的には、心原性および非心原性に分け、非心原性はさらに外傷などの外因性、呼吸原性などに分けて、各群でアドレナリン投与前の血中カテコラミン濃度の状況を検証する。また、血中カテコラミン濃度とROSCの有無の関連を検討する。バゾプレシンに関しても同様の検討を行う。また、病院前段階で既にカテコラミンが投与されている症例も合わせて、カテコラミン血中濃度とROSCの有無に関して検証を行い、血中カテコラミン濃度がROSCに及ぼす影響に関して検討を行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

外注による検査や薬品購入が予想よりも低価格で済んだこと、学会発表や発表論文の数が未だ少なく、それらにかかった費用も予想より低かったことが原因と考えております。

次年度使用額の使用計画

次年度は本研究計画の最終年度であり、今までのデータをしっかり集積・分析し、その結果を可能な限り多くの国際学会や英文論文として発表したいと考えており、それらの費用として有効に使用したいと考えております。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] The Significance of Strong Ion Gap for Predicting Return of Spontaneous Circulation in Patients with Cardiopulmonary Arrest.2017

    • 著者名/発表者名
      Kaneko M, Hagiwara S, Aoki M, Murata M, Nakajima J, Oshima K.
    • 雑誌名

      Open Medicine (Warsaw, Poland).

      巻: 12 ページ: 33-38

    • DOI

      10.1515/med-2017-0006.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Does the number of emergency medical technicians affect the neurological outcome of patients with out-of-hospital cardiac arrest?2017

    • 著者名/発表者名
      Hagiwara S, Oshima K, Aoki M, Miyazaki D, Sakurai A, Tahara Y, Nagao K, Yonemoto N, Yaguchi A, Morimura N; SOS-KANTO 2012 Study Group.
    • 雑誌名

      American Journal of Emergency Medicine

      巻: 35 ページ: 391-396

    • DOI

      10.1016/j.ajem.2016.11.020.

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Deep Vein Thrombus Occurring Immediately After Blunt Abdominal Trauma.2016

    • 著者名/発表者名
      Oshima K, Hagiwara S, Murata M, Aoki M, Kaneko M, Niwamae N, Kurabayashi M.
    • 雑誌名

      Pediatric Emergency Care

      巻: 32 ページ: 538-540

    • DOI

      10.1097/PEC.0000000000000870.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Prediction of extravasation in pelvic fracture using coagulation biomarkers.2016

    • 著者名/発表者名
      Aoki M, Hagiwara S, Tokue H, Shibuya K, Kaneko M, Murata M, Nakajima J, Sawada Y, Isshiki Y, Ichikawa Y, Oshima K.
    • 雑誌名

      Injury

      巻: 47 ページ: 1702-1706

    • DOI

      10.1016/j.injury.2016.05.012.

    • 査読あり
  • [学会発表] 心肺停止症例に対するアドレナリン投与の意義 : 血中カテコラミン濃度からの考察2016

    • 著者名/発表者名
      大嶋清宏,萩原周一,村田将人,金子稔,中島潤,澤田悠輔,一色雄太,市川優美
    • 学会等名
      第44回日本救急医学会総会・学術集会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2016-11-17 – 2016-11-17

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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