研究実績の概要 |
院内感染に伴う重症敗血症の動物モデルとして、回盲部結紮穿孔(CLP)を施行し、4日後に緑膿菌肺炎を起こすtwo hit modelを作成した。作成したtwo hit modelに治療薬として、インターフェロンβ(IFNβ)を使用した。sham群と比較し、CLP3日後に生理食塩水(NS)を投与した2H,NS群では生存率は低下し、IFNβ をCLP3日後に投与した2H,IFN群では、生存率を改善する結果を得た。本研究ではtwo hit後、つまり肺炎後の状態について着目し、肺炎18時間後に肺組織を採取し、下記を行った。肺の機能、炎症、病理などについて検討した。 肺病理では、Sham群では肺胞構造は保たれているが、2H,NS群は肺胞内に硝子化・肺傷害・出血が起きていた。2H,NS群と比べて、2H,IFN群は肺胞内の硝子化、肺傷害は軽度であった。より客観的なスコアとして、肺傷害をスコア化したlung injury scoreでもsham群と比較して2H,NS群では有意に肺が傷害され、2H,NS群と比較して2H,IFN群では有意に肺の傷害が抑制された。 肺乾湿重量比で肺の含水量は、sham群より2H,NS群では有意に高かったが、2H,NS群と2H,IFN群とは有意な差はなく、好中球のミエロペルオキシダーゼを測定した肺のMPO活性値では、sham群よりも2H群では高値を示したが、2H,NS群と2H,IFN群とは有意な差はなかった。
|