研究課題
院外心肺停止患者に対する救急車におけるrSO2計測に先立ち、その基盤となる解析として既存のJ-POP registryのデータを用い、下記の予備解析を行った。①院外心肺停止患者のプレホスピタルケアと来院時rSO2値との関連性に関して解析を行った。その結果、来院時自己心拍再開していた院外心肺停止患者において、プレホスピタルにおける除細動を行った群は来院時rSO2値が有意に高かったが、エピネフリンを投与した群は来院時rSO2値が有意に低いことを認め、プレホスピタルケアの種類が来院時rSO2値に影響を世界で初めて示し、現在のプレホスピタルケアをrSO2値モニタリングを用いて見直すことの有用性を示した(2014 American Heart Association Resuscitation Science Symposiumにて発表)。②心原性院外心肺停止患者において、来院時自己心拍再開の有無にかかわらず、rSO2値が40%以上であれば比較的良好な社会復帰率を認めることを示し、低体温療法・心臓カテーテル検査・体外式人工心肺を含めた集中治療の実施の適応決定にrSO2値モニタリングが有効である可能性を示した(2014 American Heart Association Resuscitation Science Symposiumにて発表)。③自己心拍再開を認めるケースと認めないケースにおける来院時rSO2値の特性(左右の値の一致性や予後との関連性)について解析を行い、心肺停止患者に対するrSO2値モニタリングの基盤となるデータを提示した(現在論文投稿中)。これらの基盤的な研究を踏まえ、京都大学医の倫理委員会及び京都市・乙訓郡メディカルコントロール委員会の承認を得た上で、救急車におけるrSO2計測を2015年2月より開始した。
2: おおむね順調に進展している
本研究は院外心肺停止患者に対する研究で有り、その実施には高い倫理性が求められる。そのため、主たる研究機関である京都大学医学部医の倫理委員会の審査のみに留まらず、研究協力をお願いする京都市・乙訓地区のメディカルコントロール委員会の審査を行う必要があり、それに伴って既存のデータベースより詳細な予備解析を行ったため、研究登録開始が2015年2月となった。
2015年2年より、単施設における患者登録が開始となった。今後は、この単施設研究で得られたデータを基盤として、多施設研究を企画し、さらに詳細な解析を行う予定である。
すべて 2014 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 2件) 図書 (2件) 備考 (1件)
Crit Care.
巻: 29 ページ: 500-510
10.1186/s13054-014-0500-6.
Rsusucitation
巻: 85 ページ: e135
10.1016/j.resuscitation.2014.05.014
http://kuhp.kyoto-u.ac.jp/~qqigaku/research/images/nishiyama_update.pdf