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2016 年度 実施状況報告書

AutophagyによるARDS制御機構解明とmicroRNAによる治療法開発

研究課題

研究課題/領域番号 26462757
研究機関熊本大学

研究代表者

田代 貴大  熊本大学, 医学部附属病院, 非常勤診療医師 (00613340)

研究分担者 木下 順弘  熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (30195341) [辞退]
蒲原 英伸  熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 准教授 (90398222)
鷺島 克之  熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (40336235)
廣佐古 進  熊本大学, 医学部附属病院, 非常勤診療医師 (70432995)
新森 大佑  熊本大学, 医学部附属病院, 診療助手 (70635789) [辞退]
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2018-03-31
キーワードARDS / autophagy / microRNA
研究実績の概要

我々はこれまで、急性炎症から多臓器不全にいたる重症患者を中心としてサイトカインなどの種々のメディエーターを解析し、新たな診断・治療の可能性を追求してきた。また、遺伝子発現レベルの制御としてのmicroRNAの同定を行い、ARDSに関連するmicroRNAを網羅的解析を行い、肺炎ベースのprimary ARDSと肺外の感染症から敗血症に至りARDSを合併しするSecondary ARDSの相違点からいくつかの関連するmicroRNAを絞り込んだきた。ARDSの発症メカニズムに起因する可能性のあるmicroRNAがAutophagyを介したものでるかどうかを引き続き解析している。ARDSの発症は減少傾向であり、臨床検体は限定的であるが、検体の白血球(特に炎症に起因する好中球、単球)を主体に精製分離し、Autophagyの誘導性について、LC3-II,Atg5-12,p62等のAutophagyに特異的分子の発現解析により検討していく。肺胞由来のA549細胞株や単球由来のTHP-1細胞を用いて、炎症が惹起された状況でのAutophagyの誘導性およびその際の標的microRNAとの関係を検証中である。臨床検体の網羅的解析から明らかにされた種々のmicroRNAに絞り込んでいる。これら総合的検証の結果から、AutophagyによるARDSの制御の可能性を有するmicroRNAを明らかにしていきたい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

感染症の早期診断および敗血症に対するガイドライン等の啓蒙が普及し、感染症が遷延し重症化して発症するARDSの頻度は減少傾向にあるようである。そのため、予定していた臨床検体(特に白血球)をベースとした遺伝子解析が停滞している傾向であった。一方、これまでの蓄積検体からの解析による解析ではARDS, sepsisなどの重症病態からのmicroRNAの発現プロファイルが明らかにされてきた。今後は引き続き、ARDSの臨床検体からのAutopagy関連遺伝性の解析を行っていき、microRNAとの関連性を検証していく。炎症により誘導されたAutophagyおよびmicroRNAの発現については細胞株を用いた検証を引き続き進めて行く予定である。

今後の研究の推進方策

ARDSの臨床検体(血清、白血球)の回収とそれを用いたAutophagy関連遺伝子の発現解析およびexosomal microRNAの発現解析を行っていく。これまでの網羅的発現解析からARDSとの関連性があるmicroRNAが同定されているので、さらに症例数を増やし、これらのmicroRNAとARDS発症の関連性を検証し、さらにAutophagyによるARDS発症メカニズムにつながる標的microRNAを絞り込んでいく。それらの関連性のエビデンスを細胞株を用いた系で実証していく方針である。

次年度使用額が生じた理由

ARDSの臨床検体を収集するのに時間を要している。したがって、Autophayに関連する遺伝子解析および病態に起因したmicroRNA発現解析が継続して行っていく必要性がある。また、網羅的解析から得られた標的の可能性となるmicroRNAをさらに検証するために、細胞株を用いて炎症に起因したAutophagyの関連およびmicroRNAの発現との関連の再現性を確認していく必要性がある。最後に臨床情報と実験的データとの統計的解析を行い臨床的意義についての検討する必要がある。

次年度使用額の使用計画

ARDS検体からの白血球の分離、遺伝子抽出、microRNA抽出、RT-PCR、Western blottingなど研究の基盤となるような実験系の維持に予算が必要である。また、細胞株を用いての同様の研究プロセスのためにも、解析のための予算が必要となる。さらに、国内外の学会等に参加し、Autophagy, ARDS, microRNAに関する研究に着眼し情報を収集していく。以上のような計画を遂行していくために研究費を使用していく予定である。

  • 研究成果

    (21件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (17件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Aerosolized tobramycin for Pseudomonas aeruginosa ventilator-associated pneumonia in patients with acute respiratory distress syndrome2017

    • 著者名/発表者名
      Migiyama Y, Hirosako S, Tokunaga K, Migiyama E, Tashiro T, Sagishima K, Kamohara H, Kinoshita Y, Kohrogi H
    • 雑誌名

      Pulm Pharamacol Ther.

      巻: - ページ: 印刷中

    • DOI

      10.1016/j.pupt.2017.04.008

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Hyperammonemia crisis following parturition in a female patient with ornithine transcarbamylasedeficiency.2017

    • 著者名/発表者名
      Kido J, Kawasaki T, Mitsubuchi H, Kamohara H, Ohba T, Matsumoto F, Endo F, Nakamura K.
    • 雑誌名

      World J Hepatol.

      巻: 9(6) ページ: 343-348

    • DOI

      10.4254/wjh.v9.i6.343

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 長時間腹臥位が奏功した敗血症性急性呼吸促迫症候群の1例.2016

    • 著者名/発表者名
      田代貴大, 長崎愛, 田中貴子, 吉里孝子, 小寺厚志, 鷺島克之, 興梠博次, 木下順弘
    • 雑誌名

      人工呼吸

      巻: 33(1) ページ: 85 -90

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 水分管理に難渋した慢性心不全既往のある高齢者の広範囲熱傷の一例2017

    • 著者名/発表者名
      長谷川さとこ 島田秀一 山下淳二 徳永健太郎 早田学 江嶋正志 鷺島克之
    • 学会等名
      第44回日本集中治療医学会学術集会
    • 発表場所
      ロイトン札幌
    • 年月日
      2017-03-09 – 2017-03-11
  • [学会発表] 周術期の呼吸管理に難渋した小児喘息患者の1例2017

    • 著者名/発表者名
      竹下尚志 大吉貴文 井上由季子 山下淳二 早田学 徳永健太郎 江嶋正志   鷺島克之 蒲原英伸
    • 学会等名
      第44回日本集中治療医学会学術集会
    • 発表場所
      ロイトン札幌
    • 年月日
      2017-03-09 – 2017-03-11
  • [学会発表] 小児脳腫瘍術後に再気道確保と人工呼吸管理を要した舌腫脹の一例2017

    • 著者名/発表者名
      松田智也 竹下尚志 山下淳二 早田学 徳永健太郎 江嶋正志 鷺島克之 中山秀樹  山本達郎 蒲原英伸
    • 学会等名
      第44回日本集中治療医学会学術集会
    • 発表場所
      ロイトン札幌
    • 年月日
      2017-03-09 – 2017-03-11
  • [学会発表] 慢性関節リウマチ患者に発症した播種性クリプトコッカス症の一例2017

    • 著者名/発表者名
      島田秀一 石橋卓行 早田学 山下淳二 徳永健太郎 鷺島克之 蒲原英伸   城野剛充 梶原一亨 尹浩信
    • 学会等名
      第44回日本集中治療医学会学術集会
    • 発表場所
      ロイトン札幌
    • 年月日
      2017-03-09 – 2017-03-11
  • [学会発表] 敗血症性ショック、心停止、脳塞栓症を合併した降下性壊死性縦隔炎に対して集学的治療により救命しえた一例2017

    • 著者名/発表者名
      上野満徳 山下淳二 徳永健太郎 早田学 江島正志 鷺島克之 蒲原英伸
    • 学会等名
      第44回日本集中治療医学会学術集会
    • 発表場所
      ロイトン札幌
    • 年月日
      2017-03-09 – 2017-03-11
  • [学会発表] 延髄腫瘍手術の周術期において心停止と呼吸抑制をきたした一例2017

    • 著者名/発表者名
      大吉貴文 山下淳二 早田学 徳永健太郎 江嶋正志 鷺島克之 山本達郎 蒲原英伸
    • 学会等名
      第44回日本集中治療医学会学術集会
    • 発表場所
      ロイトン札幌
    • 年月日
      2017-03-09 – 2017-03-11
  • [学会発表] 著明な好酸球数上昇を伴い、デクスメデトミジンに対する末梢血DLSTが陽性となった一例2017

    • 著者名/発表者名
      山下淳二 徳永健太郎 早田学 江島正志 鷺島克之 蒲原英伸
    • 学会等名
      第44回日本集中治療医学会学術集会
    • 発表場所
      ロイトン札幌
    • 年月日
      2017-03-09 – 2017-03-11
  • [学会発表] 術後腹部膨満による人工呼吸器離脱困難例に対して横隔膜活動電位(最低値)を指標に離脱に成功した1例2017

    • 著者名/発表者名
      徳永健太郎 山下大輔 山下淳二 早田学 江嶋正志 鷺島克之 蒲原英伸
    • 学会等名
      第44回日本集中治療医学会学術集会
    • 発表場所
      ロイトン札幌
    • 年月日
      2017-03-09 – 2017-03-11
  • [学会発表] 維持腹膜透析療法中に発症した下部胆道穿孔による難治性腹膜炎の一例2017

    • 著者名/発表者名
      早田学 鷺島克之 江嶋正志 徳永健太郎 山下淳二 向山政志 蒲原英伸
    • 学会等名
      第44回日本集中治療医学会学術集会
    • 発表場所
      ロイトン札幌
    • 年月日
      2017-03-09 – 2017-03-11
  • [学会発表] 成人敗血症性ショックの初期蘇生にアドレナリンの持続静注併用が有効であった1例2017

    • 著者名/発表者名
      鷺島克之 江嶋正志 徳永健太郎 早田学 山下淳二 蒲原英伸
    • 学会等名
      第44回日本集中治療医学会学術集会
    • 発表場所
      ロイトン札幌
    • 年月日
      2017-03-09 – 2017-03-11
  • [学会発表] 抜歯後に脾摘後の侵襲性肺炎球菌感染症を罹患後、両下腿と両手指切断を回避できなかった一例2017

    • 著者名/発表者名
      蒲原英伸 山下淳二 徳永健太郎 早田学 江嶋正志 鷺島克之
    • 学会等名
      第44回日本集中治療医学会学術集会
    • 発表場所
      ロイトン札幌
    • 年月日
      2017-03-09 – 2017-03-11
  • [学会発表] 悪性黒色腫に対する抗PD-1抗体療法により重症筋無力症を発症し人工呼吸離脱不能となった一例2017

    • 著者名/発表者名
      蒲原英伸 山下淳二 徳永健太郎 早田学 江嶋正志 鷺島克之
    • 学会等名
      第44回日本集中治療医学会学術集会
    • 発表場所
      ロイトン札幌
    • 年月日
      2017-03-09 – 2017-03-11
  • [学会発表] ICUにおける気管挿管患者の口腔マネジメント方法の検討2017

    • 著者名/発表者名
      片岡早希子 中田裕希 榊原仁美 松元史子 村上志穂 吉里孝子 本尚美 勝田久貴  廣末晃之 蒲原英伸
    • 学会等名
      第44回日本集中治療医学会学術集会
    • 発表場所
      ロイトン札幌
    • 年月日
      2017-03-09 – 2017-03-11
  • [学会発表] 熊本地震における大学病院の急性期対応(トリアージ本部の視点から)2016

    • 著者名/発表者名
      蒲原英伸 鷺島克之 江嶋正志 早田学 徳永健太郎 山下淳二
    • 学会等名
      第44回日本救急医学会総会・学術集会
    • 発表場所
      グランドプリンスホテル新高輪 国際館パミール
    • 年月日
      2016-11-17 – 2016-11-19
  • [学会発表] 熊本地震で受傷した圧挫症候群の1例2016

    • 著者名/発表者名
      鷺島克之 江嶋正志 徳永健太郎 蒲原英伸
    • 学会等名
      第44回日本救急医学会総会・学術集会
    • 発表場所
      グランドプリンスホテル新高輪 国際館パミール
    • 年月日
      2016-11-17 – 2016-11-19
  • [学会発表] 熊本地震急性期の現地大学病院における対応の実際(重症患者治療トリアージを中心に)2016

    • 著者名/発表者名
      徳永健太郎 山下淳二 早田学 江嶋正志 鷺島克之 蒲原英伸
    • 学会等名
      第44回日本救急医学会総会・学術集会
    • 発表場所
      グランドプリンスホテル新高輪 国際館パミール
    • 年月日
      2016-11-17 – 2016-11-19
  • [学会発表] 著明な代謝性アシドーシスを呈したアルコール性ケトアシドーシスに大量水分負荷とCHDFが有効であった一救命例2016

    • 著者名/発表者名
      蒲原 英伸 川崎修二 山下淳二 徳永健太郎 早田学 鷺島克之 甲斐祐基
    • 学会等名
      第26回日本集中治療医学会九州地方会
    • 発表場所
      沖縄科学技術大学院大学
    • 年月日
      2016-06-25
  • [図書] わかりやすい外科学, 分担執筆, 周術期管理、集中治療室2017

    • 著者名/発表者名
      蒲原英伸他
    • 総ページ数
      264
    • 出版者
      文光堂

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公開日: 2018-01-16  

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