研究課題
本研究ではマイクロRNAを制御することにより虚血再灌流障害の軽減を図ること目的としている。我々は血糖値変動が心筋に直接影響し、虚血再灌流障害に対してより脆弱になることを発見した。培養液グルコース濃度を変動させた細胞では活性酸素種量が有意に増加し、酸化ストレスに対しより脆弱になり、活性酸素種の指標である心筋内malondialdehyde(MDA)も血糖変動群で有意に増加していた。同様の結果は動物モデルを用いた実験においても認められ、心筋梗塞サイズが血糖変動群において糖尿病群や正常血糖群よりも拡大した。ミトコンドリアの形態変化では、糖尿病群と血糖変動群ではミトコンドリアが有意に膨化しており、さらに糖尿病群ではクリステ構造の破壊が認められたが、破壊像は血糖変動群でさらに顕著であった。糖尿病モデル動物の心筋にてマイクロRNA200cとマイクロRNA 141が増加することも新たに発見した。マイクロRNA200cと141を培養心筋細胞内に増加させることにより活性酸素種が増加し、これらのマイクロRNAの発現を抑制することにより活性酸素種量が減少した。以上の結果よりマイクロRNA200cとマイクロRNA141が活性酸素種量の制御に関与することが示唆された。さらにマイクロRNA200cと141の標的遺伝子を明らかにするためマイクロRNA標的検索アルゴリズムを用いて、マイクロRNAとメッセンジャーRNAのシークエンスの相補的配列を利用して、標的mRNAを推測した。その結果Slc25a3 と Glrx1が候補として抽出された。しかしマイクロRNA200cとマイクロRNA141の過剰発現によりSlc25a3 と Glrx1の遺伝子発現には有意な変化を認めなかった。この結果よりこれらの遺伝子はマイクロRNAの直接的な標的遺伝子ではなく活性酸素種量の調節には他の機序が作用していると推測される。
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