研究課題
開心術の黎明期より、人工心肺装置に代表される体外循環装置を、手術時や重症の患者管理に用いた際に、血小板機能障害と、凝固障害が起きることが、広く認識されている。凝固障害に関しては、輸液や体外循環充填液による凝固因子の希釈障害と、凝固系の亢進による消費障害の機序が証明され、それに対する対策が臨床的になされているが、血小板機能障害に関する機序に関しては、未だ不明の点も多く、また防止する有効な対策も無く、血小板製剤の輸血で対応しているのが現状である。その中で、我々は、人工心肺下心臓手術周術期に惹起される血小板機能低下及び炎症病態に及ぼす血小板由来microRNA (miRNA) の役割に関してIn Vivo, In Vitro両面から探索する事を主眼に置いて実験を行った。具体的には、人工心肺下心臓手術患者の血小板中のmiRNA発現の周術期の経時的変化を次世代シーケンサー及びリアルタイムPCR法を用いて、網羅的及び定量的に解析した。研究結果として、mir-10b 及びmir-96を含む7つのmiRNAの発現が、周術期に上昇することを次世代シーケンサー及びリアルタイムPCR法で確認した。一方で、これらのmiRNAのターゲットとなる血小板膜表面Glycoprotein Ib及び、血小板内VAMP8の蛋白発現が低下する事を確認した。また、VAMP8の蛋白発現が低下する事で、血小板からのATPの放出能が低下する事を確認した、これらの一部は、日本麻酔科学会、及び日本心臓血管麻酔学会に報告後、Critical Care Medicine 誌に投稿し、受領され、国際的に報告される事となった。
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Critical Care Medicine
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