研究課題/領域番号 |
26462764
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
別府 高明 岩手医科大学, 医学部, 教授 (70275543)
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研究分担者 |
藤原 俊朗 岩手医科大学, 医学部, 助教 (60405842)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 一酸化炭素中毒 / MRI / ヒドロキシペルオキシド / 三価鉄還元 / フリーラジカル / diffusion kartosis |
研究実績の概要 |
研究内容 2つのアプローチによって、一酸化炭素中毒(CO)の予後予測因子の検索およびCO中毒による脳障害のメカニズムの解明を検討している。 まず、当院救急外来に搬送された一酸化炭素(CO)中毒患者において、受診時の一般臨床検査のための採血後に余剰分から得られた血清を用いて、酸化ストレス度の指標としてヒドロキシペルオキシド、抗酸化ストレス能の指標として三価鉄還元能のそれぞれを分光光度計を用いて定量し、予後との関係を検討している。現在まで22例のCO中毒症例で施行しており、重症度と相関関係を確認している。一方、高磁場MRIによるdiffusion kartosis画像による大脳白質脱髄性変化の定量と予後予測(高次脳機能障害)の関係に関する検討を18例のCO中毒で行っている。Diffusion kartosisの定量値であるDK値と高次脳機能障害としてのminimal mental status examination (MMSE)値の間に弱い相関を認めている。
意義・重要性 CO中毒の信頼性の高い予後予測因子は未だ確立されていない。本研究は、低侵襲で簡便なルーチン採血で得られた血清も用いた酸化ストレス度と抗酸化ストレス能の定量が、予後予測因子となる可能性を示した。さらにCK値が酸化ストレス度の指標となることが示唆された。また、高磁場MRIによる大脳白質損傷の定量評価も予後予測因子となる可能性が示唆されている。本研究結果から、COによる許容以上の酸化ストレスが引き金となって、大脳白質に脱髄性変化を起こすことが、CO中毒後の大脳損傷のメカニズムであることを立証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに22例のCO中毒症例において、酸化ストレス度の指標としてヒドロキシペルオキシド、抗酸化ストレス能の指標として三価鉄還元能のそれぞれを分光光度計を用いて定量し、予後との関係を検討し、相関関係を認めている。22例のうち重症症例は4例にすぎないため、30例以上を蓄積し最終結果としたい。 一方、diffusion kartosis画像による大脳白質脱髄性変化の定量と予後予測(高次脳機能障害)の関係に関する検討は18例のCO中毒で行っている。diffusion kartosisの定量DK値と予後の指標としたMMSEに弱い相関を認めている。症例を30例以上に蓄積し最終結果を出す予定である。
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今後の研究の推進方策 |
COによる許容以上の酸化ストレスが引き金となって、大脳白質に脱髄性変化を起こすことが、CO中毒後の大脳損傷のメカニズムであることを本研究は立証した。大脳損傷の本質である脱髄性変化が起こる直前には、自己免疫応答に伴う炎症が起こっている。今後は、脱髄性変化を起こす以前の軽微は炎症反応を、microglia検出トレーサ11C-PK11195を用いたpositron emission tomography (PET)画像により検出できるか、検討する予定である。
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