フリーラジカルによる酸化ストレス上昇の程度および抗酸化能の低下の程度を一酸化炭素 (carbon monoxide, CO)中毒直後に測定することにより、その後の大脳白質障害の予見が可能であろうという仮説を立てた。結果、酸化ストレスの上昇かつ抗酸化能の低下を来たしている症例では、大脳白質障害が強く発生することがわかった。もう一つの研究として、CO中毒直後にフリーラジカル消去剤を投与した症例と非投与の症例を比較したところ、前者は後者より大脳白質障害の程度が軽度であった。 以上から、臨床的にフリーラジカルはCO暴露から大脳損傷に至る過程のメディエーターとなっていることが強く示唆された。
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