研究課題/領域番号 |
26462765
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
諏訪部 章 岩手医科大学, 医学部, 教授 (20241713)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 肺水腫 / 肺胞 II 型上皮細胞 / ドーム形成 |
研究実績の概要 |
肺水腫の発生機序は肺胞II型細胞(II 型細胞)を介する肺胞側から間質・毛細血管側への水分移動の障害が推測されているが、詳細は不明である。本研究では、その機序解明の一端として、我々が独自に開発した、 II 型細胞の「ドーム形成」をリアルタイムに動画描出するシステムを用いて、種々の薬剤や生体内因子のドーム形成に与える影響を調べることである。これまでの実験で、ドーム形成の定量的評価(ドームの数、大きさ、形成から消退までの時間など)に関しては解決した。初年度(平成26年度)は、1度の実験で、同じ細胞を用いて同時に薬剤や因子の濃度変化を観るために、4分割チャンバーが必要であり、種々のチャンバーを購入して比較検討することに重点が置かれた(培地交換用ペリスタポンプセット、培地交換セットなどを購入)。しかし、4分割チャンバーでは、観察する面積が狭く、長時間に亘り高倍率で多くのポイント(ドーム)を観察するとピントがずれてしまい、高画質の画像が得られない難点につき当っている。これに対し、今年度(平成27年度)は、引き続き4分割チャンバーでの解像度を向上すべく、実験を繰り返した。さらに、肺サーファクタントの分泌を促進するといわれるアンブロキソール(ムコソルバン)を用いて、in vitroで II 型細胞からの分泌が促進される像が得られるか否かを検討した。この点に関しては、まだ結論を得られておらず、引き続き最終年度の研究課題として取り組む予定である。しかしながら、これまでの研究内容の一部は、研究成果として雑誌論文に投稿済である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ドーム形成の定量的評価(ドームの数、大きさ、形成から招待までの時間など)に関しては解決したが、4分割チャンバーでは、観察する面積が狭く、長時間に亘り高倍率で多くのポイント(ドーム)を観察するとピントがずれてしまい、高画質の画像が得られない難点につき当っている。この点に関しては、他の4分割チャンバーを入手したり、他の肺サーファクタント分泌刺激物質を入手したりすることで解決を図り、次のステップに進めたい。
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今後の研究の推進方策 |
今後さらに実験を積み重ね、最適な培養条件・撮影条件を探索し、肺サーファクタント分泌の陽性コントロールを(ポジコン)を模索して、肺サーファクタント分泌が定量的かつ高精細な映像として捉える予定である。これらの問題点が解決されれば、様々な薬剤や因子のin vitroでの評価が可能になる。研究計画の変更の予定は必要ない。
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次年度使用額が生じた理由 |
4分割チャンバーでは、観察する面積が狭く、長時間に亘り高倍率で多くのポイント(ドーム)を観察するとピントがずれてしまい、高画質の画像が得られない難点につきあたっており、この点が次の実験ステップに進めない大きな要因となっている。
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次年度使用額の使用計画 |
まず未使用分は、研究の遅れを取り戻すための実験動物や試薬の購入に充てる。その後、最終年度の予定した研究費をもって予定の研究を行う予定である。
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