研究課題/領域番号 |
26462766
|
研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
塩田 勝利 自治医科大学, 医学部, 講師 (40398516)
|
研究分担者 |
舩田 正彦 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, その他部局等, その他 (20299530)
西嶋 康一 自治医科大学, 医学部, 非常勤講師 (30198460)
岩村 樹憲 松山大学, 薬学部, 教授 (70184900)
小林 聡幸 自治医科大学, 医学部, 准教授 (70296101)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 脱法ドラッグ / 合成THC / カチノン系薬剤 / 亜硝酸エステル / トリプタミン系薬剤 |
研究実績の概要 |
脱法ドラッグの流行により、様々な事件が引き起こされ社会問題となった。そのため法規制を求める声が増大し、それまでの脱法ドラッグの主成分であった合成Tetrahydrocannabinol(THC)やカチノン系薬物の法規制が強化され、本邦では実験用の合成THCの入手が困難である。そのため薬物合成のスペシャリストである共同研究者の岩村が昨年に引き続き、合成・精製を行った。しかし本年の合成においても純度の高い試薬は得られていない。合成の専門家である岩村が専門施設で純度の高い合成THCの合成が長期間できていないということは、非合法に合成され流通している合成THCは我々の合成物質より不純物が多いことが推測される。これは流通している脱法ドラッグに複数の合成THCが含まれている理由かもしれない。つまり意図的に複数の合成THCを配合しているのではなく、主成分の合成THC合成時の不純物に薬効のある他の合成THCが含まれているため、複数の合成THCが脱法ドラッグに含有されている可能性である。これらの知見から脱法ドラッグは販売者すら認識していない成分が含有されていると推測され、脱法ドラッグの危険性が改めて認識された。 入手可能なcannabinoid( CB)1受容体作動薬であるArachidonylcyclopropylamide (ACPA)を購入し,ACPAによる予備的な実験も行っているが、あきらかに実験動物の高体温を引き起こすことは現在のところなく、脱法ドラッグの高体温は少なくともCB1受容体活性によるものでないと考えられた。 た最近は合成THCやカチノン系成分以外を主成分とした、脱法ドラッグの流行の兆しがあり、新たな主成分を有する脱法ドラッグの流行についての情報収集と分析を行っている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定より、合成THCの純化が困難である。しかしこの所見は逆に市販されている脱法ドラッグの複数の合成THCが含まれることが多いことの傍証になっていると思われる。
|
今後の研究の推進方策 |
現在まで主に合成THCをターゲットにして実験を行っていたが、合成しても純度を高めること困難であり、他の流行しつつある脱法ドラッグの主成分である亜硝酸エステルやトリプタミン系薬剤を用いて脱法ドラッグの薬理作用の解明を行うことを検討している。
|
次年度使用額が生じた理由 |
実験用薬剤の純度の高い精製が困難であったため、当初の予定であった脳内マイクロダイアリシス実験や体温、行動量測定が行えず次年度使用額が発生した。
|
次年度使用額の使用計画 |
本年度は合成THCの純度の高い精製が現在の専門施設でも困難である可能性を考慮し、他の脱法ドラッグの主成分である亜硝酸エステルやトリプタミン系薬剤による実験を行うことを検討している。
|