研究課題/領域番号 |
26462770
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
守谷 俊 自治医科大学, 医学部, 教授 (50267069)
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研究分担者 |
杉田 篤紀 日本大学, 医学部, 助手 (70599745)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | TTM / Induced hypothermia / Early diagnosis / MEP / SEP |
研究実績の概要 |
心停止後に自己心拍が再開したにもかかわらず昏睡状態が改善しない心停止蘇生後症候群を合併する患者において、搬送直後の時間帯に神経学的予後を予想する手段は現在のところ全くない。少なくとも電気生理学的検索では、発症から72時間後にSEP N20が認められない場合に予後不良であるといった事実がある。この場合、発症から時間が72時間経過した時点での判断であることとSEP N20が認められない時の神経学的予後が不良であることを示している。しかしながら、現場の臨床では温度管理療法における脳低温療法においても神経学的予後の期待できる症例は50%前後であることから、温度管理する前の状態で神経学的予後の良好となる症例群の洗い出しが非常に重要になってくる。 対象症例は42例で、34例にSEPとMEPを来院直後に同時に行った。このうちSEPにおいてN20が記録されたものは21例であった。MEPにおいて運動領野の領域に一致する部位に活動電位を認めたのは15例であった。この15例においては全例SEPにおいてN20が認められた。SEPにおいては継続的な記録に関して大きな問題はないが、MEPに関しては鎮静薬、鎮痛薬、筋弛緩薬の使用状況により記録が不安定になることを良く経験した。 さらにSEPにおいて大脳皮質成分が記録された15例においては14例において意識が回復した。その一方で大脳皮質成分が認められなかった症例群は全例意識の回復を認めなかった。 今回の結果から、温度管理療法を含めた脳低温療法の予後良好例の絞り込みとして、来院直後のSEP N20陽性、MEP大脳皮質成分陽性の場合に可能である結果が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
症例数の蓄積が少ないためにやや遅れているとした。これは単に搬送された症例数が少ないことを示しており、来院した症例に対してはシステムが整備されており網羅して対応可能であった。しかしながら、対象となった症例のデータ解析が進行しなかったために内容を学会発表に間に合わせて抄録提出することが出来なかった。
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今後の研究の推進方策 |
鎮痛薬、鎮静薬、筋弛緩薬の投与量を調節してもMEPは記録が不安定なことが多く、記録において信頼性が認められなかった。その一方、SEPについては、N20の同定を行うことはそれ程、難しいものでは無かった。 しかしながらSEPとMEPを記録してみると予後良好群の絞り込みにはMEPを使用したほうが良いかと考えられた。
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次年度使用額が生じた理由 |
症例数集積が少なかったので、データの解析が遅れ学会にその成果を発表できなかった。そのために次年度まで研究を延長した。
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次年度使用額の使用計画 |
症例の集積を半年ほど延長して、解析に移行したい。今年度の学会報告を目指すこととする。
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