研究課題/領域番号 |
26462771
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
服部 友紀 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90363936)
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研究分担者 |
武山 直志 愛知医科大学, 医学部, 教授 (00155053)
秦 龍二 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (90258153)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 敗血症 / immunoparalysis / 骨髄幹細胞移植 |
研究実績の概要 |
敗血症は、過剰なサイトカインによる免疫の異常活性と免疫不全状態が複雑に混在した病態である。敗血症の初期段階は過剰なサイトカインによる免疫異常活性状態であり、この時期は多臓器障害を認めていても病態は可逆的であり、適切な感染源ドレナージと輸液・昇圧剤使用などの治療で改善する。重症敗血症状態が長期化する(感染源のドレナージ・炎症コントロールが不十分な状態が続く)と多臓器不全を認めるようになり既存の治療での改善は難しい不可逆な状態に陥る。この時期こそが免疫不全状態imnoparalysisであると考える。 敗血症性ショック(重症化した敗血症)では診断直後より、既存の治療に加え、過剰なサイトカインを非選択的に除去する血液浄化法と活性化した好中球を吸着するPMX-DHPの施行によりimmunoparalysisへの悪化を抑制し病態を改善させることが可能であり、実臨床において良好な治療成績を収めており、その成果と有効性のメカニズムについて国内外の学会にて報告した。またこれら治療法を導入しても改善できなかった症例についても検討を加え、各内外の学会で報告した。 敗血症の病態(hyperimmunolysisかimmunoparalysisか)については、引き続き敗血症性ショック患者の血液を採取しHLADR発現・CD34+,CD133+リンパ球動員率の測定などから検討している。 マウス敗血症モデルへの骨髄造血幹細胞の自家移植の効果については研究・検討には至っていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
実臨床においては良好な成績を治め順調に学会等で報告しているものの、研究面においては平成27年9月より大学を移動した(藤田保健衛生大学から名古屋市立大学へ移動)経緯もあり、実験を行う状況を整えられなかった。また現在は救急患者の初期診療を主に担当しており、集中治療室での重症患者管理から離れた環境にあり、敗血症性ショック患者の血液採取などが行えていない。
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今後の研究の推進方策 |
敗血症は、過剰なサイトカインによる免疫の異常活性と免疫不全状態が複雑に混在した病態と言える。敗血症初期は過剰なサイトカインによる免疫異常活性状態であり、この時期は多臓器の障害を認めるものので病態は可逆的であり、適切な感染源ドレナージと輸液・昇圧剤使用などの治療で改善する。感染源が除去・炎症のコントロールが不十分が状態が続くと多臓器不全を認めるようになり既存の治療での改善は難しい不可逆な状態に陥る。この時期は免疫不全状態imnoparalysisであると考える。 つまり、敗血症性ショック患者でも初期の段階(免疫賦活化状態)では、免疫を賦活化する必要はなくむしろ有害である可能性すらあり、免疫不全状態に陥って初めて、提唱する骨髄幹細胞移植による免疫再賦活化が必要となると考えている。 今後は、まずは敗血症の免疫異常活性期と免疫不全期を見極める必要があり、免疫不全状態において本治療の有効性を探求していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
大学の移動など重なり研究が進められなかった。 臨床データは蓄積しているが保険診療内の治療であり、研究費を使用する必要がなかったため
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次年度使用額の使用計画 |
血液採取、研究室の構築、パソコン購入、学会参加などに使用予定 人件費での使用は考えていない
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