研究課題/領域番号 |
26462773
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研究機関 | 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究 |
研究代表者 |
宮崎 裕美 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 防衛医学研究センター, 助教 (30531636)
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研究分担者 |
齋藤 大蔵 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, その他部局等, 教授 (90531632)
小野 聡 東京医科大学, 医学部, 教授 (30531355)
木下 学 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, その他部局等, 准教授 (70531391)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 活性酸素 / 食細胞 / 貪食 / 殺菌作用 |
研究実績の概要 |
重度広範囲熱傷時には主として活性化好中球などが産生する過剰な活性酸素が臓器障害を惹起し、生体防御能をも破綻すると言われている。これまで抗酸化物質等を用いた熱傷治療に関する研究は数多く試みられてきたが、熱傷受傷後に産生される活性酸素の制御が生体に如何なる影響を与えるかは未だ不明な点が多い。本研究では、20%III度熱傷モデルマウスに活性酸素消去剤(SOD)を投与し熱傷による活性酸素産生を阻害することにより、臓器障害が軽減するか、また、細菌感染に対する生体防御能が改善するか検討することを目的とした。 受傷前に予めSODを投与したマウスは、受傷直後から活性酸素の産生が抑制され、受傷後早期に起こる臓器障害の軽減効果が観察されたが、好中球の殺菌活性が低下しており細菌感染による予後が不良であった。一方、受傷後1時間後および2時間後にSODを投与したマウスでは、臓器障害は軽減されなかったが、細菌感染の予後を改善していた。熱傷後の活性酸素産生制御が受傷後の細菌感染予後を良好にしていた機序を明らかにするために詳細な検討を行ったところ、活性酸素産生を制御することによって、骨髄における造血機能が回復するとともに、生体防御に重要な好中球の貪食・殺菌活性が亢進していることが明らかとなった。これらの結果から、重症熱傷によって産生される活性酸素産生を制御する治療法は、受傷後感染に対し保護的に作用する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
広範囲熱傷受傷後直ちに産生される活性酸素と数時間後以降に産生される活性酸素の役割について検証し、組織傷害性と生体防御の二面性があることを見出した。受傷数時間後以降に産生される活性酸素を制御することが、受傷後の細菌感染症に対して有効な治療法となり得ることを明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
重症熱傷によって低下する好中球やマクロファージの貪食・殺菌能に関与する因子の解明を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画していた遺伝子導入実験を実施しなかったため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
研究遂行において必須の分子生物学的および生化学的解析用の試薬類購入に研究費を用いる。また、研究成果発表のための学会参加費用(国内および国外)としての旅費、英文専門誌に論文を論文掲載に投稿するための英文校正費および投稿費用としても研究費を用いる。
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