本研究課題では歯胚発育・再生過程におけるコンドロイチン硫酸プロテオグリカン(CSPG)の局在と機能を明らかにし、CS鎖の歯胚組織再生法への応用の可能性について検討した。正常歯胚では、CS鎖は幼若歯乳頭、神経・骨・軟骨周囲の間葉に強く発現し、歯髄組織の成熟とともに歯根先端部に限局したことより、歯髄の神経誘導と歯髄幹細胞ニッチの形成に関与している可能性が示された。また、CS合成酵素ノックアウト (CSKO)マウスでは、顎顔面奇形、頭蓋骨の形態変化と骨・軟骨の低形成、歯髄再生の変化が確認された。以上より、CSPGは歯ならびに頭蓋顔面の発生・再生を調節する重要な分子であることが示された。
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