研究課題
26年度の研究で、島皮質から三叉神経尾側亜核で舌神経経由の感覚の入力部位への投射は、舌の感覚の島皮質に至る上行路に対するフィードバック回路となっていることが示された。27年度の研究で、島皮質から三叉神経尾側亜核で舌神経経由の感覚の入力部位に投射するニューロンが、口腔(顔面)の痛み刺激で賦活されることが示された。以上の結果を受け28年度は、島皮質から三叉神経尾側亜核への投射が、口腔顔面の痛みが入力する三叉神経尾側亜核ニューロンに与える影響(興奮性か、抑制性か、影響が無いか)の解明を、大阪大学歯学研究科動物実験指針に従い、ラットを用いたin vivo実験にて開始した。具体的には、まず、三叉神経尾側亜核の表層に刺入したガラス管微小電極から、口腔顔面に与えた痛み刺激に対する応答を記録する。この記録時に、顆粒性/不全顆粒性島皮質を金属電極で電気刺激し、三叉神経尾側亜核の表層で記録される痛みに対する応答がどのように影響を受けるか(促通されるか、抑制されるか、影響が無いか)を調べる実験を開始した。しかし、途中で実験機器(油圧式マニピュレーター)が二度故障してしまった。その修理に時間がかかってしまったので、研究期間を29年度までに延長した。よって、29年度の方法は28年度と同じである。29年度の研究によって、三叉神経尾側亜核の表層ニューロンの口腔顔面に与えた痛み刺激に対する応答が、顆粒性/不全顆粒性島皮質の電気刺激で、促通されるもの、抑制されるもの、影響がみられないものの3種が認められた。この29年度の結果は、島皮質ニューロンから尾側亜核ニューロンへの接続は、単シナプス性のもの(促通に働くと考えられる)ばかりでなく、興奮性または抑制性の介在ニューロンを介した2シナプス性またはそれ以上の多シナプス性のものなどが存在し、複雑であることが明らかになった。
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