研究課題/領域番号 |
26462783
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
藤井 昌江 岡山大学, 歯学部, 博士研究員 (30362685)
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研究分担者 |
武部 祐一郎 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (00714677)
長塚 仁 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (70237535)
辻極 秀次 岡山理科大学, 理学部, 教授 (70335628)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 腫瘍 / 腫瘍間質 / 骨幹細胞 |
研究実績の概要 |
腫瘍間質は、単に腫瘍実質を栄養するのみならず、「腫瘍の性格をも規定する腫瘍微小環境を提供する組織」として近年注目を集めている。そこで、腫瘍微小環境中の血球系細胞の動態に着目し、GFP骨髄移植マウスモデルを用いて、血球系細胞の動態を特異的に追跡、腫瘍浸潤や転移への関与の検討を目的としている。 本年度研究では、GFPラベル骨髄細胞移植免疫不全ヌードマウスの確立、および同マウスへのヒト口腔扁平上皮癌細胞等の腫瘍細胞移植実験系の確立に先立ち、野生型C57BL/6マウスにGFPマウスの骨髄細胞を移植した動物実験モデルを用いて詳細な解析を行った。GFP骨髄細胞移植マウスに生着力、転移能の高い悪性黒色腫細胞およびマウス肺癌細胞を、皮下移植ならびに尾静脈から移植を行い、原発腫瘍モデル、腫瘍転移モデルマウスを作製した。モデルマウスから腫瘍塊を摘出、組織学的解析、免疫化学染色を施した後、GFP陽性細胞の局在検討やマーカー検索を行った。その結果、原発腫瘍モデル、転移腫瘍モデルの腫瘍組織内にGFP陽性細胞が多数存在することを確認した。また、腫瘍随伴マクロファージ(TAM)のマーカーとして知られるCD11bや、癌関連線維芽細胞(CAF)のマーカーであるα-SMAの染色を行ったところ、GFP陽性細胞が、それらのマーカーを発現していなかった。以上のことから本実験において現在までに報告されていない骨髄由来の細胞が、腫瘍の進展に関わっている可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度研究ではGFPマウス骨髄細胞移植を野生種マウスに行い、GFPマウス由来骨髄細胞が、野生種マウスの各器官・臓器に移行する事を確認した。また、免疫組織化学的染色を用いて、原発腫瘍モデル、転移腫瘍モデルの腫瘍組織内にGFP陽性細胞が多数存在することを確認した。動物由来腫瘍細胞を用いた実験系において、現在までに報告されていない骨髄由来の細胞が腫瘍の進展に関わっている可能性が示唆され今後の研究展開が期待される。しかしながらヒト由来腫瘍細胞を用いた動物実験モデルの確立に遅れを生じたことから、実験の進行具合としては、これらを総じて「やや遅延している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究推進方策としては、GFPラベル骨髄細胞移植免疫不全ヌードマウスの確立、および同マウスへのヒト口腔扁平上皮癌細胞等の移植実験系の確立のため、各種実験系の詳細な条件設定を行う。また上記の実験系と平行して前年度動物腫瘍細胞移植モデルにて確認された、腫瘍の進展に関与する可能性が考えられるGFP陽性細胞の性格について詳細な検討を加えるべく、免疫組織化学的等の組織学的解析を継続して行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由としては、当初の実験計画ではGFPラベル骨髄細胞移植免疫不全ヌードマウスに、ヒト口腔扁平上皮癌細胞およびヒト胃癌細胞を移植し、骨髄組織由来GFP陽性細胞と腫瘍進展との関連性について解析を行う予定であった。本実験を確実なものするため、予備実験として野生型C57BL/6マウスにGFPマウスの骨髄細胞を移植した動物実験モデルを用いて詳細な解析を行った。その結果、予想に反した実験データが得られたため、より詳細な解析を追加することとなった。そのためGFPラベル骨髄細胞移植免疫不全ヌードマウスの作製、ヒト腫瘍細胞の移植条件の検討に遅れが生じ、同実験に使用する予定であった実験動物、試薬等の購入資金に余剰が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
今後の研究では、動物実験モデルの腫瘍組織内に認められるGFP陽性細胞の性格について詳細な解析を行うため、免疫組織化学的手法等により、さまざまな特異的蛋白の検出を予定している。また、GFPラベル骨髄細胞移植免疫不全ヌードマウスの確立、およびヒト口腔扁平上皮癌由来細胞等の移植実験系の確立を試みる。これらの研究には特異的蛋白検出に関連した抗体、免疫組織化学的解析に必要な試薬、実験動物が必要であり購入に使用する。
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