研究課題
本年度はまず,Bone lining cellsの単離を試みるため,I型コラーゲンプロモーター制御下で蛍光タンパク質Venusを発現するレポーターマウスを使用した。同マウスの頭蓋冠をコラゲナーゼで処理し,得られた頭蓋冠由来細胞(骨原生細胞)の小胞体をER-trackerにて染色した。その後,Venus陽性の細胞について,ER-tracker陽性(骨芽細胞)あるいは陰性(Bone lining cells)の割合をFACSにより分析した。その結果,Bone lining cellsはVenus陽性細胞のうち約3%程度しか存在しないことが明らかとなり,昨年度までの組織学的解析を裏付ける結果となった。このBone lining cellsの細胞数の観点から,細胞集団として単離・解析することは困難と考え,次に,Venus陽性細胞を無作為に選択し,シングルセルRNA-seqにより細胞1個あたりの遺伝子発現を網羅的に解析した。96個の細胞を解析し,90個の細胞について信頼性の高い結果が得られた。全ての細胞はCol1a1/2やIbspなどの骨芽細胞マーカーを発現し,SostやFgf23などの骨細胞マーカーを発現していないことが確認された。さらに,既存の報告では,Bone lining cellsは骨芽細胞と比較すると,Col1a1/2およびBglapの発現低下,CD54(ICAM1)の発現上昇を示すとされており,実際に同様の発現パターンを示す細胞が5個確認された。今後,これらの細胞と骨芽細胞の遺伝子発現パターンを詳細に比較解析し,Bone lining cellsへの運命決定を制御する機構を解明する。
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Proteomics Clinical Applications
巻: 印刷中 ページ: -
10.1002/prca.201600095
Bone Reports
巻: 5 ページ: 280-285
10.1016/j.bonr.2016.09.004