研究課題
本研究において、扁平上皮癌細胞にのみアポトーシスを誘導する変異型DCC遺伝子を挿入した新規癌治療用ベクターを作製し、新たな口腔癌の治療法を開発することを目的とし、免疫不全マウスの背部皮下に移植した癌細胞へのアポトーシス誘導因子(⊿DCC)添加の影響について検討した。まず、扁平上皮癌細胞株と胃の腺癌細胞株におけるDCCmRNAの発現量をヒト表皮角化細胞株のそれと比較検討した。その結果、扁平上皮癌細胞株と胃の腺癌細胞株におけるDCCmRNAの発現量が有意に低かった。次に、扁平上皮癌細胞株HSC3および胃の腺癌細胞株MKN45を移植した癌モデルマウスにウィルスエンベロープHVJ-Eを用いて⊿DCCベクターを導入し、その影響を比較検討した。その結果、扁平上皮癌移植マウスにおいて、⊿DCC導入群では癌細胞が減少し、癌胞巣が縮小していた。また、TUNEL陽性細胞数はコントロール群と比較して有意に多かった。また、胃の腺癌移植マウスでは、⊿DCC導入群では腫瘤の断面積および癌組織の面積で縮小傾向が認められた。以上の結果から、DCCは癌細胞において減少もしくは欠失している可能性があり、⊿DCCによりアポトーシスを誘導し、癌抑制に働いていることが示唆された。今後は、胃の腺癌移植マウスの癌細胞移植の量や大きさを検討し、⊿DCCベクターの導入方法について再度検討したい。また、組織固定後、免疫染色によるactive caspase-3 の発現とTUNEL染色によりアポトーシス誘導能について比較検討する予定としている。
2: おおむね順調に進展している
扁平上皮癌細胞株HSC3および胃の腺癌細胞株MKN45を移植した癌モデルマウスにウィルスエンベロープHVJ-Eを用いて⊿DCCベクターを導入し、その影響を比較検討したので、当初の計画に準じて実験が行えた。
胃の腺癌移植マウスでは、扁平上皮癌移植マウスと比較して癌の増殖が速かったことと、癌中心部での壊死を⊿DCCベクター導入群とコントロール群で認めた。したがって、⊿DCC導入群とコントロール群とでの有意差が認められなかったと思われるので、胃の腺癌移植マウスの癌細胞移植の量や大きさを検討し、⊿DCCベクターの導入方法について再度検討したい。また、組織固定後、免疫染色によるactive caspase-3 の発現とTUNEL染色によりアポトーシス誘導能を比較検討する予定である。
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