研究課題/領域番号 |
26462788
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
和田 裕子 九州大学, 歯学研究院, 助教 (70380706)
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研究分担者 |
清島 保 九州大学, 歯学研究院, 教授 (20264054)
永田 健吾 九州大学, 歯学研究院, 助教 (90189134)
藤原 弘明 九州大学, 歯学研究院, 助教 (50634200) [辞退]
藤井 慎介 九州大学, 歯学研究院, 助教 (60452786)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 扁平上皮癌 / アポトーシス |
研究実績の概要 |
本研究では、扁平上皮癌にアポトーシスを誘導する変異型DCC遺伝子を挿入した新規癌治療用ベクターを作製し、新規癌治療法の開発を目的としている。膜貫通型レセプターであるDCC遺伝子とそのリガンドであるnetrin-1遺伝子は、正常な腸上皮基底部に発現しているが、腸上皮上部細胞ではDCCのみを発現しており、DCC遺伝子にリガンドが結合しない場合は、細胞のアポトーシスが誘導されることが知られている。そこで、扁平上皮癌細胞においてDCCとnetrin-1の発現を検討した。 in vitro 実験にて、扁平上皮癌細胞株に全長DCCを導入して、血清中のnetrin-1によってアポトーシスが起こらないことを検討するために、全長DCCベクター作製を試みたが、条件が揃わずクローニングに至らなかった。 in vivo 実験では、DCCとnetrin-1の抗体を用いて、扁平上皮癌組織における免疫染色を行い発現パターンについて検索した。DCCは、いくつかの高分化型癌組織において、癌真珠の角化層近くの有棘細胞層に発現を一部認めたが、netrin-1は、癌真珠をともなう高分化型の癌胞巣では、基底細胞層とその上部数層に発現を強く認めた。この結果から、扁平上皮癌組織において、一部のDCCのみを発現していた角化層近くの有棘細胞層では、アポトーシスが起きていることが考えられるが、DCCが発現していない部分やnetrin-1が発現している部分では、アポトーシスが起きていない可能性が推察された。 以上の結果より、扁平上皮癌細胞におけるDCCとnetrin-1の発現様式から、扁平上皮癌の発生に関与している可能性が考えられた。
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