研究課題/領域番号 |
26462790
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
笹平 智則 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (90405374)
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研究分担者 |
國安 弘基 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (00253055)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 口腔癌 / 新規マーカー / 浸潤・転移 |
研究実績の概要 |
腫瘍の進展にはVEGF familyに代表される脈管新生因子が中心的な役割を果たす腫瘍血管新生・リンパ管新生が不可欠である。頭頸部癌、特に口腔癌は、局所進展性やリンパ節転移能が高く進行がんとして発見されることが多いために予後不良である。また広範囲におよぶ手術が余儀なくされ、機能や審美性が障害されるために術後のQOL(生命の質、生活の質)が著しく低下することが多い。口腔癌の進展を制御する脈管新生機構の解明およびあらたなリンパ管・血管新生因子の解明は急務の課題である。 我々はすでに口腔癌の新規マーカーとしてN4BP2L1を見いだしたが、新たな分子マーカーの候補としてSTOX2を同定した。STOX2は脱落膜において発現していることが報告されているが、がんにおける機能は全く分かっていない。臨床検体を用いた発現解析において、STOX2はタンパクレベル、遺伝子レベルともに口腔癌において高発現していた。臨床病理学的因子との統計解析においてSTOX2の発現レベルはリンパ節転移とリンパ管・脈管新生数と有意に相関していた。口腔癌細胞を用いたin vitroでの検討では脈管新生を促進する作用を有することが明らかとなった。なおSTOX2以外にもリンパ管・血管新生を制御する複数の新規口腔癌関連マーカーの候補を見いだしている。 なお有用なSTOX2抗体の獲得や遺伝子ノックダウン処理に手間を要したことで十分な機能解析を行えなかった。しかしながらそれらの問題は解決出来たため、期間延長した今年度はSTOX2をはじめとした新規マーカー候補の機能解析を重点的に実施したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
タンパク・遺伝子発現解析において予定した症例数を大幅に増やしての検討が余儀なくされた。またSTOX2遺伝子等の未知遺伝子のノックダウン処理や抗体を用いた発現解析に難渋し十分な機能解析を実施出来なかった。
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今後の研究の推進方策 |
タンパク発現解析に使用可能な抗体やノックダウン処理用のプローブは獲得済である。またELISA系も構築したため、今年度はSTOX2をはじめとした新規口腔癌マーカーの候補について詳細な機能解析を重点的に行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新規マーカーの獲得に不可欠である抗体や遺伝子ノックダウンプローブの獲得に難渋し、あわせて大幅な発現解析症例数の増加を余儀なくされたため。
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次年度使用額の使用計画 |
抗体や遺伝子ノックダウン処理用のプローブはすでに獲得出来たため、今年度は口腔癌に関連した新規マーカーの機能解析を重点的に実施する予定である。
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