研究課題/領域番号 |
26462791
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
後藤 哲哉 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 教授 (70253458)
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研究分担者 |
片岡 真司 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (80364149)
山中 淳之 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 准教授 (80343367)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 象牙芽細胞 / アデノシン3リン酸 / VNUT / 温熱刺激 |
研究実績の概要 |
平成27年度は平成26年度に引き続き、象牙芽細が侵害刺激を歯髄内の知覚神経に情報伝達しているのにATPが使われて、さらにそのATPの象牙芽細胞からの放出に、小胞型のトランスポーターであるVesicular Nucleotide Transporter (VNUT)が関与しているという仮説のもとに、VNUTの発現、放出経路、ストレス(温熱刺激)後の象牙芽細胞のATPの放出を確認する研究を行って来た。 ラットを使ったin vivoの実験ではすでに、抗VNUT抗体を用いた免疫組織学的手法により、蛍光顕微鏡観察でVNUTの象牙芽細胞中の局在を確認した。さらに、VNUT陽性小胞が細胞膜と癒合しているかどうかを調べる為に、抗SNAP25抗体を用いた実験では、象牙芽細胞の細胞膜周囲でVNUTとSNAP25の共局在が認められた。また、この共局在が象牙芽細胞の歯髄側に観察されたことから、VNUT陽性小胞に含まれたATPは象牙芽細胞より歯髄側に放出されていることが明らかとなった。さらに、象牙芽細胞層直下の歯髄神経にはATPの受容体のひとつであるP2X3受容体の局在が抗P2X3抗体を用いた実験により局在が認められた。 一方、象牙芽細胞様細胞であるKN-3細胞をもちいて温熱刺激を与えた研究では、温熱刺激を与えた直後(1時間後)にすでにVNUTの発現が上昇し、すぐに発現が減少することが明らかとなった。また、この温熱刺激によるVNUTの発現上昇はVNUTに対するsiRNAの投与により著しく減少した。さらにはATP放出量も温熱刺激を加えることにより上昇したが、siRNAを投与することにより減少が認められた。 以上の結果により象牙芽細胞はストレスを受けることによりVNUTを介してATPを含む小胞が増え、歯髄側にATPを放出することにより、歯髄の神経細胞上のATP受容体を介して歯髄の知覚神経に情報が伝達される事が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初予定していた実験はすべて終了し、その内容をまとめた論文も学術誌に掲載されたため。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定していた実験は終了し、仮説は証明されたので、今後は、象牙芽細胞刺激によるVNUT発現の量的な評価を進めるとともに、象牙芽細胞の侵害刺激の受容体であると考えられているTRPV4とVNUTとの関連について研究を進めて行く予定である。
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