研究実績の概要 |
1.学童の口腔内診査を行い、清掃状態によってgood, moderate, poorの3群に分類し、得られた唾液のマイクロバイオームを、メタゲノム解析を行った。その結果、口腔清掃状態の悪化に伴ってStreptococcus属細菌の割合が減少し、偏性嫌気性のVeillonella属細菌の割合が増加した。 2.各唾液試料をBHI寒天培地とrogosa寒天培地に播種し、それぞれのCFUを計測した。更に、rogosa寒天培地に生育した株は、グラム染色とVeillonellaのgenus specific primerを用いたPCRによってVeillonella属細菌であることを確認した。その結果、上記と同様に口腔清掃状態の悪化に伴ってVeillonella属細菌の割合が増加することが確認された。 3.合計1609株のVeillonella属細菌が分離された。rpo B geneの塩基配列から設計したSpecies specific primerを応用したPCR法を用いて、この1609株をspeciesレベルで同定した。その結果、1609株中167株が既報のVeillonella属細菌種には分類されないUnknown-Veillonella isolateであることは判明した。このUnknown-Veillonella isolateの分離頻度は、口腔清掃状態の悪いpoor群で、最も高かった。 4.Unknown-Veillonella isolateの遺伝学的系統分類を行うために、167株から28株を抽出し、それらのrpo B geneの塩基配列を解析した。その塩基配列を用いて、NJ法によるevolutionary treeを構築した。その結果、Unknown-Veillonella isolateには遺伝学的多様性が認められると同時に、既報の菌種とは異なる新菌種の存在が示唆された。
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