研究実績の概要 |
本研究は、歯周病原性細菌 Porphyromonas gingivalis による歯周組織構成細胞をはじめとした宿主細胞への侵入メカニズムと同菌侵入におけるC型レクチン受容体が果たす役割を明らかにすることを目的として、galectin による P. gingivalis 侵入増加作用と P. gingivalis 侵入にかかわる宿主細胞のタンパク分子の動態について探索する。 本年度は、以下の結果を得た。1.P. gingivalis は、各々のリコンビナント galectin-1, galectin-3, galectin-4 とほぼ同程度で結合した。また、ウシ血清アルブミン(BSA)とも結合した。2.リコンビナント galectin-1 または BSA で前処理した P. gingivalis の歯肉上皮癌細胞Ca9-22への付着は、未処理の P. gingivalis と比較して有意に増加した。しかしながら、リコンビナント galectin-3 または galectin-4 結合 P. gingivalis の同細胞への付着は増加しなかった。3.リコンビナント galectin-1 または BSA で前処理した P. gingivalis のCa9-22細胞への侵入は、未処理の同菌と比較して有意に増加した。しかしながら、リコンビナント galectin-3 結合 P. gingivalis の同細胞への侵入は未処理 P. gingivalis の侵入と同等で、BSA結合 P. gingivalis の侵入と比べると有意に少なかった。4.Ca9-22細胞膜上では、低レベルの galectin-1 発現と中程度の galectin-3 発現がみられた。5.Galectin-3ノックダウンCa9-22細胞における P. gingivalis の侵入数は野生株と同等だった。
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