研究課題/領域番号 |
26462796
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研究機関 | 明海大学 |
研究代表者 |
天野 修 明海大学, 歯学部, 教授 (60193025)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 脂肪酸結合タンパク / セプトクラスト / 軟骨吸収 / 咽頭喉頭筋 / エネルギー代謝 |
研究実績の概要 |
1)表皮型脂肪酸結合タンパク(E-FABP)はperoxisome proliferator-activated receptor (PPAR) betaを介する細胞増殖を誘導する脂肪酸またはレチノイン酸(RA)シグナル伝達に関与すると考えられている。RA300mg/kgを経口過剰摂取させた生後4週齢(P4w)、ビタミンA欠乏食を離乳期より摂食させたP9w ddyマウス、およびそれらのコントロールから採取した脛骨骨端板を用いた。ビタミンA欠乏(RA欠乏)でseptoclastに細胞増殖抑制と形態変化を誘導するCD-RAPが局在した。RA過剰でseptoclast に細胞増殖を媒介するPPARbetaの発現抑制と、アポトーシスのマーカーのTUNEL陽性反応、RAによるアポトーシス誘導を介するRARbetaの局在が認められた。本研究結果から、RA欠乏・過剰におけるseptoclastの細胞数減少、形態変化にはPPARbeta、CD-RAP、RARbetaが関与することが示唆された。 2)マウスを,固形食飼育(SD)群と流動食飼育(LD)群の2群に分けて,抗心筋型FABP(H-FABP)抗体と抗fast-myosin heavy chain(F-MHC)抗体を用い免疫組織化学的に軟口蓋筋,咽頭収縮筋,および内喉頭筋(外側輪状披裂筋,甲状披裂筋,披裂間筋,後輪状披裂筋)を解析した。H-FABPの発現は内喉頭筋にほぼ均質に認められたが,特に後輪状披裂筋と披裂間筋においてその発現が強かった。また,H-FABPは,後輪状披裂筋と披裂間筋で,SD群と比較してLD群で免疫活性が低下した。以上の結果から,H-FABPは咽頭・喉頭筋のエネルギー代謝に重要な役割を担っていること,また,テクスチャーの違いは,これらの筋の生後発育におけるエネルギー代謝の役割に対して影響をおよぼす可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
概ね順調に推移しており,上記1)については現在論文を準備中,2)については既に出版済みで,2)については予定より早く仕上げることができた。 前年度に予定通り進行しなかった脳型脂肪酸結合蛋白の骨組織に於ける役割に関する研究においては,電子顕微鏡による結果が得られたため,ほぼデータが出そろった。 当初の実験計画にあった下顎頭軟骨における脂肪酸結合蛋白の解析は1および2)研究に集中したために十分な成果が得られなったが,動物実験の試料がほぼ揃った。
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今後の研究の推進方策 |
計画に沿って実験を進めていく予定である。 1)表皮型脂肪酸結合蛋白陽性の骨端板セプトクラストに関しては,胎児指骨器官培養系を用いて,脂肪酸またはレチノイン酸の影響を解析する。 2)表皮型脂肪酸結合蛋白陽性のメッケル軟骨セプトクラストについては,その局在の変化を統計処理し,吸収活性と吸収形態,セプトクラストの形態と数との関係を解析する。 3)脳型脂肪酸結合蛋白の破骨細胞については,データの整理を行い,論文執筆と出版を図る。 4)下顎頭軟骨の実験は,基本的な組織染色を行い,骨端板とメッケル軟骨の結果と比較する。 5)すべての実験結果の総括を行い,必要な結果発表を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入予定の試薬(キット)の国内在庫がなく,次年度の納入となったため。また,一部の動物実験に使用する動物の匹数の再検討行った結果,実験が順調に推移していて予定していた追加購入の必要が無くなったため。
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次年度使用額の使用計画 |
概ね実験改革に沿った試薬と実験動物の計画に沿った購入で支出する。また最終年度のため,学会等においてその成果を発表する機会が増えるので,論文出版に関する経費に支出する予定である。
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