研究課題
1)表皮型脂肪酸結合タンパク(E-FABP)がメッケル軟骨吸収面に存在する小型の単核細胞に発現すること,その細胞が血管内皮と隣接して存在し,軟骨基質の非石灰化基質とも隣接していることを見出した。さらに吸収時期によって細胞の形態が異なることも見出した。E-FABP陽性細胞はcathepsinBを発現し,さらにDBAレクチンにも陽性を示したことから,骨端板の非石灰化基質で構成されている横隔を吸収するseptoclast(セプトクラスト,横隔吸収細胞)であることが分かったseptoclastは骨端板では成長時期により突起の本数や長さなどの形態の変化を示すことから,メッケル軟骨のseptoclastの形態変化も,吸収活性の変化を反映したものと考えられた.この関係については,今後より詳細に検討して結論を得る必要がある.2)骨端板の軟骨吸収については,B-FABPを発現する破骨細胞(破軟骨細胞)も関与することを既に示したが,ノックアウトマウスによる解析では顕著な変化が見られなかった。そこで,脂肪酸欠損食を与えて飼育したノックアウトマウスと正常マウスを比較して解析した,その結果,破骨細胞の形態変化や数の減少が見られたが,現在詳細を解析中である。3)メッケル軟骨を含むマウスの発生初期の下顎を器官培養し,低酸素環境下で培養したところ,軟骨細胞の分化の遅延や成長抑制,小下顎症などの症状が現れた。これは将来の吸収阻害を示唆する所見であり,1)で明らかとなった吸収細胞であるseptoclastとの関係をin vivo,in vitroの両面で解析したところ,低酸素環境は軟骨吸収に抑制的であることが示唆された。
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