研究課題/領域番号 |
26462797
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研究機関 | 東京歯科大学 |
研究代表者 |
橋本 貞充 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (10201708)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 付着上皮 / 歯周組織 / 上皮性付着 / DAT細胞 / 細胞接着 / Laminin γ2 / Langerhans 細胞 / 末梢神経線維 |
研究実績の概要 |
本研究は、歯周組織の健康維持にとってきわめて大切な、歯肉付着上皮の防御機構を再検討し、付着上皮破壊のメカニズムを解明するために、付着上皮のエナメル側最表層細胞(DAT細胞)と、付着上皮細胞間隙にネットワークを構築している Langerhans 細胞および末梢神経線維網に焦点を当て、(1)付着上皮のDAT細胞が、退縮エナメル上皮から一次性上皮付着を経て、いつどのように成熟した二次性上皮付着に変化し、歯面への接着・移動と、分裂・増殖の機能を獲得するのか? (2) 断裂した付着上皮は、DAT細胞あるいは結合織側の基底細胞のどちらから修復されるのか? (3) 付着上皮内の Langerhans 細胞と付着上皮細胞表面/細胞質内におけるTLR-4の発現と局在、および、付着上皮の防御機構と細胞間結合の破壊との関与はどうか? (4) 付着上皮細胞間に張り巡らされた末梢神経線維の分布と機能とは何か? を解明することを目的としている。 本年度は、成熟した二次性上皮付着の成立過程の解析として、1) 出生後の幼若SD系雄ラットにおける退縮エナメル上皮から一次付着上皮、二次付着上皮への変化を従来の手法を用いて、内側基底板への Laminin γ2および Integrin の発現過程を観察するために、生後1週から12週のSD系ラットの新鮮顎骨を用いた付着上皮の凍結切片および、凍結超薄切片法による金コロイド標識免疫電顕染色による、付着上皮細胞内および内側基底板側の細胞膜上での局在を検証することを目的として準備をおこなってきている。また、付着上皮内の Langerhans 細胞および末梢神経線維の分布と機能について、さらに、これらの幼若ラットでの実験系への準備として、成獣ラットでのデータを整理し、再検討を行なっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度の研究進捗状況としては、研究手法の試行錯誤に時間をとられており、まずは出生後の幼若SD系雄ラットにおける退縮エナメル上皮から一次付着上皮、二次付着上皮への変化を検討する条件を設定するために、成獣ラットにおける免疫染色条件のデータを検討しているところであり、これに関連して、従来より現在までに得られた関連画像データをデジタル化して整理し、基礎データとしている。 免疫染色条件については、導入したMicrowaveおよび新規賦活剤による抗原賦活化のシステムを用いることで、より簡便な手法によって川本法による非脱灰切片による免疫蛍光染色の画像に匹敵する染色条件が得られることを期待して、各種条件を検索している。このシステムによる適切な固定液とEDTAを用いた脱灰標本の作製条件があれば、標本作製がかなり効率的となると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
基本的な研究計画については、現在行なっている免疫蛍光染色、免疫電顕およびフリーズフラクチャーレプリカ電顕による構造およびLaminin・Integrin局在の観察については大きな変更点はないが、断裂した付着上皮修復へのDAT細胞の関与を調べるための、蛍光色素トレーサを灌流した顎骨をガラスボトムの恒温チャンバー内で、共焦点レーザー顕微鏡観察をする実験系は、ガラスボトムから歯肉部までの距離があり、現在使用している共焦点レーザー顕微鏡の対物レンズの作動距離の関係から、付着上皮部が焦点を外れるという問題があり、解決策の検討を要する。また、EGFPグリーンラットSD-Tg(CAG-EGFP)の系実験手法も併せて、種々の試行と再検討が必要であると思われる。 次年度の研究費については、特異抗体および標識抗体等の購入、実験に用いるSDラットの購入、凍結用の液体ヘリウム等を中心に薬品および実験用の用品の購入にあてると共に、岡崎国立共同研究機構・生理学研究所への出張費用、学会発表にともなう出張費用に使用する予定である。
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