研究課題
本研究は、歯肉付着上皮の防御機構を再検討し、付着上皮の破壊と再生のメカニズムを解明するために、付着上皮の歯面側最表層細胞(DAT細胞)と、付着上皮細胞間隙にネットワークを構築しているLangerhans細胞および末梢神経線維網に焦点を当て研究をおこなっており、ラット歯周組織を用い、免疫蛍光染色・免疫電顕法、フラクチャーレプリカ法による観察を行う共に、蛍光色素を血管内に注入して共焦点レーザー顕微鏡で描出するトレーサー実験などを行っている。付着上皮は、外側基底板に接する結合組織側の基底細胞と、付着上皮先端部を含む内側基底板に接する歯面側のDAT細胞が細胞増殖能を維持しているが、Langerhans細胞も付着上皮先端部を中心に、内側および外側基底板側の上皮細胞間に集まりネットワークを形成する傾向が見られた。本研究と関連して、研究協力者の生理学研究所の村上政隆先生らと共に、ラット顎下腺の人工灌流系を用いて、唾液腺腺房における傍細胞輸送経路について、トマトレクチンを用いた血管描出法による詳細な毛細血管網の立体構築のライブイメージングを行っており、同様の手法によりラット歯肉の血管網の構築を試みている。歯肉溝滲出液は、付着上皮直下の有窓性毛細血管から構成される血管床から漏出すると考えられるが、ラット歯肉においては、口腔上皮の上皮脚に対応する結合織乳頭に侵入するねじれたループ状の毛細血管が確認できるものの、付着上皮直下の有窓性毛細血管の血管床の動態については、微細構造を解明するには至っていない。この点に関して、ラット顎下腺においては、腺房周囲の毛細血管床の血流量の増加が、唾液分泌量と相関していることを示すデータを得ていることから、歯肉においても、付着上皮直下の毛細血管の血流量の増加が歯肉溝滲出液の生成の駆動力となる可能性を考えており、検討を加えている。
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The Bulletin of Tokyo Dental College
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