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2014 年度 実施状況報告書

骨芽細胞の脱分化・多能性再獲得機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 26462798
研究機関日本大学

研究代表者

三上 剛和  日本大学, 歯学部, 助教 (80434075)

研究分担者 渡辺 信和  東京大学, 医科学研究所, 特任准教授 (10334278)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード骨芽細胞 / 間葉系幹細胞 / 脱分化
研究実績の概要

近年、成熟した脂肪細胞を、脂肪組織から単離し、in vitro培養すると、遺伝子導入や特別な試薬を用いなくても脱分化することが報告された。この脱分化脂肪細胞は、間葉系幹細胞と同等の多能性をもつ。もし、同様の現象が他の分化細胞でも認められれば、ある種の分化細胞は、体性幹細胞レベルまでならば、比較的容易に可塑することを示すことになる。そこで、本研究では、脂肪細胞と同じく間葉系幹細胞から分化する骨芽細胞に着目し、脱分化能およびその分子機序を検討した。
はじめに、骨芽細胞への分化誘導法が確立されている間葉系幹細胞様の培養細胞(C3H10T1/2)を用いて実験を行った。C3H10T1/2細胞を骨芽細胞分化誘導培地で2週間培養し、骨芽細胞へ分化させた。骨芽細胞への分化はその指標であるALPの発現で確認した。次に、C3H10T1/2由来骨芽細胞をコラゲナーゼおよびトリプシン処理によって単離し、再度ディッシュに播種して通常培地で再培養した。再培養された細胞は徐々に増殖をはじめ、数回の継代の後には、ALP陰性を示した。この細胞を脂肪細胞、筋芽細胞、および軟骨細胞へ分化誘導したところ、全ての細胞系譜への分化が認められ、骨芽細胞分化誘導前のC3H10T1/2と同様の多分化能を有していることが明らかになった。次に、マイクロアレイを用いて、分化誘導後のC3H10T1/2と再培養直後のC3H10T1/2の遺伝子発現パターンを網羅的に比較した。その結果、再培養直後の細胞で発現量の変動が著しい遺伝子には、ストレス応答因子および細胞接着関連因子が多く含まれていることが明らかになった。
本研究の結果は、一度、骨芽細胞へ分化した細胞でも、脂肪細胞と同様に、周辺組織から単離し、再培養することで脱分化することを示唆している。さらに、その分子機構には、ストレス応答因子および細胞接着関連因子が重要な役割を担うことが予想される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の研究計画では、ヒト歯髄由来間葉系幹細胞(DPSC)を使用する予定であった。しかし、DPSCは初代培養細胞であるため、通常の細胞培養法では長期培養が困難であった。そこで、DPSC培養法の検討を行った。その結果、長期培養が可能な条件を同定することができた。この培養法の確立に時間を要することが予想されたため、初年度には、DPSCの変わりに、同じく間葉系幹細胞様の表現型を有するC3H10T12/細胞を用いて骨芽細胞の脱分化機構に関する実験を行った。C3H10T/2細胞を用いた実験では、骨芽細胞が脱分化することを示す結果を得ることができた。さらに、次年度以降に予定してたマイクロアレイ解析による脱分化関連候補因子のリストアップまでを終了することができた。
以上のことから、本研究の初年度の目標をおおむね達成できたと思われる。

今後の研究の推進方策

研究計画では、ヒト歯髄由来間葉系幹細胞(DPSC)を使用する予定であったが、C3H10T12/細胞を用いた実験で良好な結果を得たことから、C3H10T12/細胞を用いた実験も並行して行う予定である。
DPSCの長期培養が可能になったため、C3H10T12/細胞で行った実験をDPSCでも行い、その再現性を確認する。
得られたマイクロアレイデータについて、時系列に沿ってジーンオントロジー(GO)解析、パスウェイ解析等のデータマイニングを行い、遺伝子発現パターンの全体像を把握すると共に解析データの評価を行う。
マイクロアレイ解析による脱分化関連候補因子のスクリーニングをさらに詳細に行い、その機能解析を行う。

次年度使用額が生じた理由

培養細胞の増殖が遅く、培地交換回数がわずかに減少したため、消耗品費が予定より安価に済んだ。

次年度使用額の使用計画

ピペット、マイクロチューブ等の消耗品の購入に充てる。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Osteocytes up-regulate the terminal differentiation of pre-osteoblasts via gap junctions.2015

    • 著者名/発表者名
      Nishikawa Y, Akiyama Y, Yamamoto K, Kobayashi M, Watanabe E, Watanabe N, Shimizu N, Mikami Y, Komiyama K.
    • 雑誌名

      Biochem Biophys Res Commun.

      巻: 456 ページ: 1-6

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2014.10.128.

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Osteogenic gene transcription is regulated via gap junction-mediated cell-cell communication.2015

    • 著者名/発表者名
      Mikami Y, Yamamoto K, Akiyama Y, Kobayashi M, Watanabe E, Watanabe N, Asano M, Shimizu N, Komiyama K.
    • 雑誌名

      Stem Cells Dev.

      巻: 24 ページ: 214-227

    • DOI

      10.1089/scd.2014.0060.

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] Regulation of osteogenic gnene transcription via gap junction-mediated cell-cell communication2014

    • 著者名/発表者名
      Mikami Y, Kitano T, Asano M, Komiyama K.
    • 学会等名
      96th Annual meeting, scientific sessions and exhibition in conjugation with the Japanese society and Korean association of oral and maxillofacial surgeons
    • 発表場所
      ホノルル(米国)
    • 年月日
      2014-09-08 – 2014-09-13

URL: 

公開日: 2016-05-27  

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